7月16日(日)、17日(月・祝)に滋賀県で開かれた女性限定のラリーイベント「マザーレイクラリー2023」。
モトメガネ編集部も会場にお邪魔してアンケート取材を実施しました。
アンケートのテーマは「足つき性」。
集計結果とイベントレポートは別の記事でまとめていますので、そちらも読んでみてくださいね。
で、ちょうど取材が終わったころ、日本ライダーズフォーラムの理事・池田幸應さんとお話する機会があったので愛車を見せてもらったんです。
すると…。
そこにあったバイクはがっつりローダウンされたBMW・R1200GSでした。
聞けばこのGS、身長148cmの女子ライダーでも足がつくそうです。
さらに運動性・安全性を損なわないように徹底してカスタムしているとのこと。
そんな夢のようなGSのカスタムポイントを教えてもらったので、この記事で紹介していきますね。
池田さんってどんな人?
こんにちは、ライターのサブローです。
池田さんは、2022年度まで約40年間金沢星稜大学で人間科学部 スポーツ学科教授を務めていた方です(現在:名誉教授)。
二輪冒険家の風間深志さんが代表を務める一般社団法人「日本ライダーズフォーラム」の理事も務められています。
はじめまして、池田です。おもしろそうなアンケートをしていたので声をかけさせてもらいました。
ありがとうございます! このGS、すごいローダウンですね。
どんなカスタムをしているんですか?
交換したパーツはシートとシートジョイント、トルクロッドです。あとは純正リヤショックをメーカーに送って加工してもらっています。
いずれもディーラーで相談しながら、バランスを崩さないようにカスタムしました。
とくにトルクロッドは、短すぎると剛性が不足してしまうので、信頼できるメーカーの製品を選んでいます。
ライダー(168cmと148cm)がまたがるとこんな感じ
オーナーの池田さん(左・168cm)と、お知り合いのなおさん(右・148cm)にまたがってもらいました。
池田さんは両足のつま先がべったり。
なおさんは厚底のブーツを履けば片足をラクにつけられるそうです。
池田さんいわく、ノーマルだとシートからステップまでの距離がありすぎるので、現状のポジションがベストとのこと。
人間が最もすばやく正確に動ける姿勢は「バスケットボールのドリブルダッシュ“直前”の姿勢」なんです。
前後左右、上下に効率よく動けるその姿勢を、私は「ニュートラルポジション」と呼んでいます。
腰を落としてヒザを適度に曲げて…こうかな。
あ、たしかにバイクをコントロールしやすそうな姿勢です。
池田さんはスポーツ学科の教授をされていただけあって、やっぱり説得力がありますね。
ありがとうございます。
コントロールしやすいだけでなく、ライダーの疲労も少なくなりますよ。
私の身長(168cm)でこのローダウン仕様にまたがると、ちょうどそのニュートラルポジションになるんです。
どこをカスタムしているの? 費用はどれくらい?
シート
(池田さん)
「K&Hのローシートに交換しています。
他のローシートと比べると、単に座面が低いだけではなく、左右の絞り込みが大きいおかげでガニ股にならず、足を真下におろしやすくなっています。
さらに純正のローシートよりも座り心地がよく、お尻が痛くならないところもいいですね」
新品のシートを購入すると6万円ほどですが、池田さんは中古のシートを3万円以下で購入したとのこと。
中古品は意外と多く出回っているんだとか。
シートジョイント
(池田さん)
「GSにはもともと、純正シートの高さを2段階に変えるためのジョイントが付いています。
そのジョイントを社外品に変更することで、シートをさらに下げることができます」
ジョイントはさまざまなメーカーがリリースしていて、バイクショップやAmazonで購入できるそうです。池田さんは5,500円で購入。
トルクロッド
(池田さん)
「トルクロッドを純正よりも短いアールズ・ギアの製品に交換しています。ここを短くするとリヤホイールの位置が上がり、結果として車高が下がります」
こちらもいろんなパーツメーカーから発売されていて、バイクショップやAmazonで購入可能。
池田さんはアールズ・ギア製のものを約5万円で購入したそうです。
リヤショック
(池田さん)
「純正リヤショックをメーカーに送り、全長が短くなるようにカットしてもらいました。
ただしカットした部分はわずかです。ディーラーと相談して、運動性能を損なわないギリギリの加工をしてもらっています。
加工の具体的な内容は秘密だそうですが、このカスタムについては石川県金沢市にあるBMW正規ディーラー『モトアート・ササキ』さんが詳しいですよ」
作業の流れは次のとおり。
モトアート・ササキさんがリヤショックを外してメーカーに送る。メーカーが加工を行う。その後戻ってきたショックを再びモトアート・ササキさんが取り付ける、というもの。これで費用は4万円弱だとか。やすい!
池田さんからのコメント
この4点をカスタムすると、R1200GSが、ホンダのNC750と同等以下のシート高になりますので、ほとんどのライダーが不安なく乗れるようになります。
もしあなたがGSシリーズに乗りたいと思うのであれば、足つき性を理由に諦めることはありません。
GSシリーズは本当にいいバイクです。
ご自身の体格に合うカスタムをして、ぜひ一度乗ってみてください。