HONDA
CB1300SB
CB1100RS
CB1000R
HONDAの代名詞でもあるCB
CB750フォアやCB400、CB750Fなど4ストロークの名車たちに付く名でもある。ホンダといえばCBという人も多いのではないか。歴史の長いCBシリーズだが、現在は3つのCBが存在する。
昔からのCBを受け継いできたCB1300SBを有する伝統のCBシリーズ。空冷の4気筒エンジンを貫くCB1100RSを有する空冷CBシリーズ。電子制御てんこ盛りのCB1000Rを有する新世代のCBシリーズ。3つのCBをe50exhaustが実際に走った体感を比較してお伝えしていきます。
伝統の4気筒
熟成された走りの
CB1300SB
ホンダCB1300スーパーボルドール。
30周年記念モデルが2022年に登場。それだけ変わらない伝統のホンダを代表とする名車。4気筒の大きなエンジンを抱きかかえるようにアンダーフレームもあるオールドスタイル。車体重量272Kgの重い車体。最初は時代遅れのノスタルジーに浸るためのバイクかと思っていた。しかし、今も残り続ける理由は乗るとわかる。
とても272Kgの車体を操っているとは思えない軽快な操舵感。もちろんクイックとはいかないが、これだけ軽快に操れるのは驚きだ。フレームワーク、サスペンション、エンジンの出力特性、キャスター角、重量バランスと全ての技術がかみ合わないとこうはいかない。ホンダの技術力と熟成の賜物であると感じる。さらに動きもスムース。にごりのない澄んだ水面のような凛とした走りなのだ。
30周年アニバーサリーモデル
重厚感と安定感、これ以上のものに出逢ったことがない。圧倒的な直進安定性。微塵のブレもなくどっしりと走っていく。これほどの安心感はない。それでいてスポーティーにコーナリングもできてしまう。コーナーでも安定感はすばらしい。これだけの巨体をブレなく走らせてしまう。ホンダでなければこういうマシンは創れないのではないか。
変らないといっても変わっている。30年の間に少しずつ改良していき熟成を重ねている。変わらないように見せながら変わるというのは実はとても難しい。劇的に性能を上げていけば違うマシンになってしまう。それゆえに全てが上質である。ホンダの技術の集大成。それだけでも価値がある。走り、サウンド、細部の仕上げ。古くても良いものは残り続ける。ぜひこのまま残り続けてほしい名車だ。
●水冷4サイクル4気筒1284cc
●最高出力113ps/7750rpm
●車重272㎏ ●シート高 780㎜
●価格:1,672,000円(税込)
空冷の魅力
惜しまれくファイナルを迎えた
CB1100RS
ホンダCB1100RS。
惜しまれく2022年10月に生産終了してしまった稀代の空冷4気筒。排ガス規制の厳しくなる中、かたくなに規制に不利な空冷にこだわり、人気を博した名車。CB1100、CB1100RS、CB1100EXと3つの1100を展開。今回はその中でもスポーティーなCB1100RSをお伝えする。
CB1100RSだけが前後17インチのホイールを履く。18インチから17インチへ、これだけでもクイックなコーナリングが期待できる。このバイクよりもクイックなハンドリングのバイクはたくさんある。ただ乗っているだけでは17インチの恩恵は受けられないかもしれない。空冷4気筒の味わい深い出力としっかりシンクロさせてこそ真価を発揮する。耳を澄ます、いや身体を澄ましてCBを感じなければならない。
大味では消してない乗り味。繊細かつ身に滲みこんでいくような乗り味なのだ。空冷の鼓動はドンドンと強いものではなく静かに浸透していくような鼓動。そしてアクセル開度によりその鼓動はリニアに身体の奥に滲みこんでいく。開けるとじわっと体内に広がりながらマシンはするすると加速していく。マシンが人と一体になって伸びていくのだ。広がり、鼓動、加速、全てがシンクロして一体となる。
コーナリングはマシンの呼吸に合わせてやるとクイックに曲がる。だから呼吸を感じ取れる者だけが味わえる至福の世界。無理やり曲げない。身体を少し移動して合図を送るだけ。そのあとはマシンに従えばいい。アクセルの開度は鼓動が教えてくれる。シンクロが深ければ深いほど曲がる。伸びやかな加速とタイヤが路面を蹴る感覚がマシンから伝わってくる。空冷だからこそ、CBだからこそ、この感覚が味わえる。
●空冷4サイクル4気筒1140cc
●最高出力90ps/7500rpm
●車重252㎏ ●シート高 785㎜
●価格:1,403,600円(税込)
新世代のCB
電子制御で乗りやすい
CB1000R
ホンダCB1000R。
CBR1000RRの流れをくむスーパースポーツのネイキッド。同時に新世代の水冷4気筒CBである。当然、電子制御はてんこ盛り。4つのライディングモードやトルクコントロール、スマホと連携のカラー液晶メーター、クイックシフターなど走りも快適性も現代のマシンである。デザインはCBの伝統を継承しつつ新しいスマートなデザインへ。
マスの集中化によりコンパクトなポジション。リッターバイクとは思えないほど軽快でクイックな走り。もちろん速い。重厚感のある安定性を持ちながらミドルクラスかと思うくらいの操舵感。走っているとリッターバイクということを忘れるくらい。パワーも十分すぎるほどハイパワー。しかし、乗りやすくアクセルのコントロールはけして難しくない。
特にコーナリングは良く曲がる。誰が乗っても綺麗に曲がっていけるのはさすがホンダ、優等生マシンだ。リッターバイクで怖いと思う必要はなく、逆にコレの方がミドルクラスよりも安心して乗れるかもしれない。エンジンブレーキの設定も自由にできるので上達に合わせて乗りやすく調整ができる。ギクシャクしたりしないで済むのだ。
スポーツモードでアクセルをガバっと開ければ、もうサーキットへ行けと言わんばかりの強烈な加速とパワー。回しても曲がりやすいのは変わらないので安心して攻めることができる。ライダーの技量は関係なく一定のレベルの走りができてしまう。そこは注意が必要。勘違いしてしまうほどうまく乗れてしまうリッターバイクなのだ。サウンドも心を躍らせてくれるのでスポーティーに走りたい人にはうってつけだ。
●水冷4サイクル4気筒998cc
●最高出力145ps/10500rpm
●車重213㎏ ●シート高 830㎜
●価格:1,670,900円(税込)Black Edition 1,716,000円(税込)
まとめと補足
古き良き熟成のCBはCB1300SBとCB1100RS。長い年月に改良を重ねてきた走りの味わいは何年も寝かせたワインに似ている。基本は同じだが、口当たりのまろやかさ、そして鼻に抜ける香りの余韻が違う。細部にわたってそれを感じるのがCB1300SB。乗ればわかる。重厚なだけのバイクではない。
CB1100RSは空冷ゆえに、感じ取れる人は限られるかもしれない。とても微細でじわっと滲みこんでいく違いなのでアグレッシブさを求める人には向かないかもしれない。感じ取れればアグレッシブに走れるのに順番が違うだけでそこにはたどり着けない。
速く走りたい人は、CB1000Rしかない。一昔前のSSの性能を持ったネイキッドバイク。それがいとも簡単に乗れてしまう現代の技術力。誰でも綺麗にコーナリングを駆け抜けることができる。しかも安全に。これは凄いことだ。見事に進化したCBなのだ。昔のCB750Fをこんな風に簡単に扱えただろうか?しかも、リッターになっている。これが新世代のCB。バイクも進化している。ただ、失ったものもある。それがCB1300SBやCB1100RSの熟成された味わいでもある。どれを選んでも高性能。あとはどれが好きか、欲しいか。それに尽きる。