本田技研工業株式会社は、Hondaの”これから”がわかる「Honda Stories」にて、新規コンテンツ「備えない防災「フェーズフリー」 災害時にも使える電動車~非常用電源としての車両バッテリーの活用法」を公開した。「フェーズフリー」とは、日常と非常時という2つのフェーズをフリーにする(垣根を取り払う)という意味で、防災対策の新たな概念として注目を集めている考え方のことを言う。ホンダは、今後防災を意識して揃えた商品でなくてもみんなに防災力が備わっていくことが、「フェーズフリーの商品が広がる価値」だと考えている。
【Honda Stories】新規コンテンツを公開
備えない防災「フェーズフリー」 災害時にも使える電動車
~非常用電源としての車両バッテリーの活用法~
「フェーズフリー(Phase Free)」。日常と非常時という2つのフェーズをフリーにする(垣根を取り払う)という意味で、防災対策の新たな概念として注目を集めるこの考え方。
Hondaにも、フェーズフリーのコンセプトを基にした商品や取り組みがあります。Hondaには、どんなフェーズフリー商品があるのか見ていきましょう。
新たな防災のスタンダード「フェーズフリー」とは?
フェーズフリーは “備えない防災”とも言われる防災対策の考え方。
旧来の防災対策は、日常と非常時(災害など)を分けて考え、いざというときのためにあらかじめ非常食や災害時に役立つモノを揃えておくという考えが中心でした。
一方、フェーズフリーは、日常と非日常という2つのフェーズをフリーにする(垣根を取り払う)という意味で、日々の生活に利用しているモノやサービスが、日常・非日常を問わず役立つ状態を目指すというものです。
防災グッズは、揃えるのにある程度お金もかかる上、置く場所も必要です。また、定期的な点検や買い替えも必要で、いざ災害が発生したときには、どこにあるか分からないなんてことも。
いつ来るか分からない災害に対して、高価な防災グッズを揃えて日々きちんと管理するのは誰にでもできることでありません。『備える』ということは簡単なようで難しいことです。その中で『備えない防災』という考え方が生まれました。
例えば、一般的なペンと、水害などで水に濡れても使えるフェーズフリーなペンが同じ値段で売っていたら、濡れても使えるペンを選ぶのではないでしょうか。値段や他の要素が変わらないのであれば、多くの方が付加価値の多いモノを選びます。防災意識の高い方はもちろん、普段は意識をしない方も価値があるモノを選ぶはずです。意識して揃えたわけでなくてもみんなに防災力が備わっていく、それがフェーズフリーの商品が拡がる価値です。
また、大事なのは、日常生活にもこれまで以上の価値を届けてくれること。ペンの例でいうと、濡れても使えるからといって書きにくかったりかっこ悪かったりするとやはり買ってもらえません。『日常の生活・暮らしをより豊かにする』『非常時でも活躍する』この2つの要素を兼ね備えたものがフェーズフリーの定義であり、守るべき基準です。
電気をいつでもどこでも使える「Moving e」
2020年、本田技術研究所とトヨタ自動車が共同で実証実験を開始した「Moving e(ムービングイー)」。Moving eは、フェーズフリーに基づいて構築された取り組みです。
トヨタの燃料電池バスに、Hondaの外部給電器や可搬型バッテリーを積み込んで現地に出向き、電気を供給。日常ではイベントなどの電力活用に役立ち、災害時には避難所などへの電力供給で活躍します。
Hondaは、『平時活用・有事利用』の考えの下、非常時でも日常と変わらず電気を使うためには、電動車両のも持つ大きな電力をバッテリーなどで小分けにして届ける「電力のバケツリレー」が有効だと考え、トヨタとの共同実証を開始。
大容量の発電ができるトヨタの燃料電池バスと、Hondaの車両から電力を取り出す外部給電器、さらにその電気を充電して一人一人に配るための可搬型バッテリーを組み合わせることで、このシステムが成立しました。
EV・FCVなどもフェーズフリーで使える商品
カーボンニュートラル実現を目指すHondaは、モビリティの電動化を推し進めています。電気自動車(EV)や水素による燃料電池車(FCV)も、車両自体を非常用電源(蓄電池)として活用し、電力供給を行うこともできるため、フェーズフリーで使うことができます。
例えば、「Honda e」は、いつでもどこでもバッテリーの電力を使用できるように、100Vのコンセントを車内に装備。ダイレクトに電力を使用することも可能です。また、外部給電器を用いれば、消費電力の大きい家電なども使うことができるようになります。
1日の家庭の消費電力を約10kWhとすると、Honda eは、非常用電源として一般的な家庭の3日分の電力をまかなえます。
また、小型モビリティを含むさまざまな電動機器の動力源として活用を拡げているモバイルパワーパックも、フェーズフリーで使うことができます。
モバイルパワーパックは2018年に電動二輪車での活用がスタート。現在は、マイクロショベル、投光器、船外機、除雪機、配送ロボットなどへ活用の場が広がっています。
電気を小分けにして持ち運ぶことができるモバイルパワーパックは、「Honda Power Pod e:」と組み合わせて使うとポータブル電源としても活用が可能。屋内・屋外問わず使用できるため、キャンプやイベント等で使えるほか、災害時に避難所などで非常用電源としても使用できます。
さらに、2022年10月から、バッテリー交換ステーション「Honda Power Pack Exchanger e:」が日本で稼働を開始。
この交換ステーションは、街中に設置*され、モバイルパワーパックを複数同時に充電。電動二輪車をはじめとするバッテリーユーザーのスムーズな交換を可能にします。
*現在は、ENEOS、カワサキ、スズキ、ヤマハ、Hondaの5社で設立し、バッテリーシェアリング事業を行う株式会社Gachacoによって設置を進めています
バッテリーインフラとして、国内外で広く普及しやすい街中なじみやすいデザインとしており、既にインドでは電動三輪タクシー(リキシャ)向けバッテリーシェアリングサービス事業を開始しています。
また、停電時など本機へ給電できない場合においても、充電済みのHonda Mobile Power Pack e:の電気から給電を行い、バッテリーの貸し出しを継続します。
「電源を切実に求めている人のところへ電力を持っていきたい」という想いがモバイルパワーパック開発のきっかけであり、モバイルパワーパックの活用が拡がることで、日常・非日常限らず電力を供給できる環境の構築が少しずつ進んでいます。
カーボンニュートラルへ向けて、再生可能エネルギーの活用やEV、 FCVの普及も進んでいきますが、こうしたモビリティには常に電気が蓄えられており、非常時には給電デバイスとしての活躍も期待されています。
このように、日常で使われるシステムのままでも万が一の事態に対応できるフェーズフリーな商品・サービスが拡大することで、社会全体の防災力が高まっていくはず。これから登場する製品からも、目が離せません。
リリース提供元:本田技研工業株式会社