日を追って寒さが厳しくなる冬は、一年のなかでもっともクルマの燃費が悪くなるといわれています。
特に、全国的にみても2月は一段と燃費が悪くなるようです。そこで今回は、冬の寒さと燃費の関係や燃費が悪くなるメカニズムについて見ていきましょう。
冬場はエンジンに負担がかかる&バッテリートラブルが多発する
外気が冷え込むと、エンジンは最高性能を発揮するために冷えた状態から適温に温まるまで、自動的に回転数を上げようとします。これが余分にガソリンを使うことになり、燃費の悪化につながります。
また、エンジンパーツの潤滑油であるエンジンオイルも冷えて粘るので、パーツがうまく連動せずガソリンの消費量が増えます。加えて、寒さによって電気の使用量が増えることも燃費の悪化に関係しています。
エンジンの始動はもとより、カーナビやドライブレコーダー、窓の開閉、ヒーターなどさまざまなところで使う電気は、エンジンが回転することで作られています。つまり、走行中にたくさん電気を使うほどエンジンが稼働し、ガソリンを消費することになるということ。
さらに、冬はバッテリーの性能が落ちやすく、結果としてエンジンが稼働してしまうことも燃費悪化の要因のひとつです。
バッテリーは寒さに弱いため、冬になるとバッテリー上がりなどのトラブルが多発します。バッテリー上がりを繰り返すうちに蓄電量が減り、電圧が下がることに。このようにバッテリーが劣化してしまうと、エンジンをさらに稼働させることに繋がります。
また最近のアイドリングストップ機能は、頻繁にエンジンを始動、停止させるのでバッテリーを著しく消耗させます。加えてセキュリティ機能やカーナビ、ヒーターなどによって電力を消費するため、バッテリーからの放電量はどうしても増えてしまうのです。
このように、気温の低くなる冬は消費電力が増えるにもかかわらず充電不足になりやすく、バッテリーにとっても厳しい季節といえるでしょう。
効率的に車内を暖めるコツとは
クルマの暖房は燃費にほとんど影響しませんが、効率的に暖めるにはコツがあります。
エンジンが暖まってからスイッチを入れる
エンジンの余熱によって温風が作られるので、乗車してすぐにスイッチを入れても効果はありません。冷たい風が送風口から噴き出すだけで、よけいに震えてしまいます。
じれったく感じるかもしれませんが、エンジンが暖まってからオンにするのが暖房を効かせる近道です。
もし、エンジン冷却水の温度がわかる水温警告灯がついていれば、目安になります。エンジンが始動して冷却水温が上がり、表示が消えたタイミングでスイッチを入れるとよいでしょう。
外気を遮断する
カーエアコンの内気循環機能を使うと、暖房効率が上がります。ただし、長時間続けると二酸化炭素の濃度が高くなり、眠気や頭痛を起こすことがあるので注意が必要です。
また、ウインドウに断熱効果のあるカーフィルムを貼って、車内の熱を逃がさないようにするとより効率的に車内を温めることができます。
暖房で曇ってきたらA/Cボタンをオン
暖房をつけていると、外気と車内の気温差が大きくなり窓が曇ってしまいます。オートエアコンでない場合は、そんなときにA/Cボタンを押してエアコンの除湿機能を使いましょう。
とくに、大人数が乗っていたり、雪や雨で濡れた服や傘が車内にあるときに効果的です。
かつて、冬の運転といえば、走行前にしばらくエンジンをかけておく暖機運転が一般的で、ガソリンの消費を早めていました。しかし、いまはエンジンが冷えた状態でもスムーズに走れるクルマが増えており、寒冷地を除けば暖機運転は要らないといわれています。
燃費向上に向けて現在進行形で技術開発が進行していますが、まだしばらくはクルマを温めるためにある程度ガソリンを消費することになるでしょう。