トヨタ自動車株式会社は、富士スピードウェイにて開催された2024年全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦の結果を発表した。
4番手からスタートした坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が今季初勝利し、大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)が2位と、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は1・2フィニッシュを飾った。坪井にとっては2020年最終戦富士大会以来4年ぶり通算3勝目となるこの勝利で、記念すべき「瑶子女王杯」の第1回ウィナーとなった。また、夏休みに入ったこともあり、今大会は夏祭りの雰囲気を押し出した企画を数多く実施。広場には縁日屋台の出店や戦隊ヒーローショー、グッズ販売も行われ、お祭り気分で一日中楽しめるイベントとして家族連れでにぎわった。決勝レース終了後には、新たな試みとして「After Race Grid Party(アフターレース・グリッドパーティー)」を開催。興奮冷めやらぬレース直後のホームストレート上で関係者、ゲスト陣がファンと共に祝杯をあげるなど、最後まで盛り上がりをみせた。
坪井が圧巻の速さで4番手から追い上げ今季初勝利
大湯が2位でTGR勢1-2フィニッシュ
2024年全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦富士
スーパーフォーミュラの第4戦が富士スピードウェイで行われ、4番手からスタートした坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が今季初勝利。大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)が2位で続き、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)はホームの富士で1-2フィニッシュを飾りました。ポールポジションの福住仁嶺(Kids com Team KCMG)はピットで遅れるも巻き返し4位。国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が6位、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)が8位、平良響(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が9位でデビュー2戦目にして初のポイント獲得を果たしました。
7月20日(土)と21日(日)の両日、静岡県の富士スピードウェイで全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦「第1回瑶子女王杯 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第4戦富士大会」がモータースポーツ業界初の賜杯を授かる大会として行われました。
前大会は梅雨のSUGOで赤旗中断により短縮終了となりましたが、そこから4週間、大会を前に梅雨明けが宣言された今大会は、概ね好天に恵まれ、2日間合計で49200人ものお客様が来場。夏の暑さの中で文字通りの熱戦が繰り広げられました。また、女性ドライバーのみのレース「KYOJO CUP」もスーパーフォーミュラと初めて併催され、注目を集めていました。
TOYOTA GAZOO Racing(TGR)勢は今季ここまでの3戦で惜しくも勝利に届かず、第2戦で2位表彰台を獲得した山下健太(KONDO RACING)がランキング4位、第2戦、第3戦で連続3位に入った坪井がランキング6位につけており、全7大会9レースで戦われる今シーズン、事実上の折り返しとなる今大会でのTGR勢の巻き返しに期待がかかりました。
夏休みに入ったこともあり、今大会は「スーパーフォーミュラ夏祭り2024」として夏祭りの雰囲気を押し出した企画が数多く実施されました。イベント広場には縁日屋台の出店や戦隊ヒーローショー&グッズ販売も行われ、お祭り気分で一日中楽しめるイベントとして、家族連れのお客様などにも好評を博していました。
また、恒例の「Out of KidZania in SUPER FORMULA」も実施され、お子様がレースオフィシャルや管制、グリッドボードにアナウンスなどサーキットの様々なお仕事を体験。モータースポーツを支える裏方として、新たな魅力を実感していただきました。
決勝レース終了後には、新たな試みとして「After Race Grid Party(アフターレース・グリッドパーティー)」を実施。興奮冷めやらぬレース直後のホームストレート上で関係者、ゲスト陣がファンの皆様と共にドライバーたちの健闘を称えて乾杯するという企画で、最後まで盛り上がりました。
予選
20日(土)午後2時より、空は雲がかかっているものの、気温は32度、路面温度も48度と猛烈な暑さの中でノックアウト方式の予選が行われました。
Q1は2グループに分けて実施。A組では、先週、地球の真裏のブラジルでWEC(FIA世界耐久選手権)サンパウロ戦を戦ったばかりの小林と、笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)が、他車より1周少ない、1周のみのウォームアップでアタックに入りました。
小林は1分23秒506をマークし、これがターゲットタイムに。続いて笹原が1分23秒392と好タイムをマークし小林のタイムを上回ると、他の車両も次々にタイムアップ。
午前中の公式練習走行でトラブルに見舞われ走行時間が限られることとなった阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)は、TGR勢最上位となる1分23秒323をマークし、4番手でQ2へと進出。笹原が5番手、小高一斗(KONDO RACING)が6番手でQ2進出を果たしました。小林は0.097秒差で惜しくも7番手。前大会に続き、今大会もITOCHU ENEX TEAM IMPULの19号車をドライブすることとなったTGR-DC(ドライバー・チャレンジ・プログラム)育成ドライバーである平良響は1分23秒523とまずまずのタイムをマークしましたが、惜しくもQ2進出はなりませんでした。
B組ではTGR勢が速さを見せました。大湯が1分23秒078で暫定トップに立つと、福住がこのセッション唯一の1分22秒台に入れる速さを見せ、大湯をかわしてトップに。2週間前に同じ富士で行われた合同テストで総合トップタイムをマークした山下が3番手、坪井が4番手と、TGR勢がトップ4を占め、Q2へと進出を決めました。一方、国本と大嶋和也(docomo business ROOKIE)はタイムが伸びずそれぞれ8番手、9番手でQ1敗退となりました。
Q2では、残り4分半ほどから各車アタックのためコースへ。トムスの2台は違う戦略をとり、残り3分でコースインし、1周のウォームアップでアタックを開始。坪井が1分22秒573とQ1を大幅に上回る好タイムを叩き出すと、ポール争いは史上まれに見る僅差となりました。この坪井のタイムを岩佐歩夢(TEAM MUGEN)が僅かに上回り、ポール確定かと思われましたが、最後に福住が1分22秒543をマークしトップに。大湯も1分22秒571というタイムをマーク。トップ4台が僅か0.03秒の中に入るという激戦を制し、福住がTGR勢に移籍して初めて、KCMGにとってもスーパーフォーミュラでチーム初となるポールポジションを獲得しました。大湯は2番手の岩佐と0.011秒差の3番手。そこから0.002秒差で坪井が4番手に続くこととなりました。
山下が8番手、小高が10番手で、この小高までが1分22秒台。笹原は戦略が合わず11番手。阪口はアタック中にトラブルに見舞われ12番手となりました。
決勝
21日(日)も好天に恵まれ、気温32度、路面温度45度と真夏の暑さとなりました。午後3時3分、大観衆の見守る中、41周で争われる決勝レースのスタートが切られました。
ポールポジションの福住は順当なスタートを切り順位をキープ。2番手の岩佐が出遅れたことで、3番手グリッドの大湯が2位へ、岩佐のすぐ後4番手スタートの坪井は5位へと後退。
12番手スタートの阪口は1周目から車両トラブルに見舞われてコース脇にストップ。早くもレースを終えることとなってしまいました。
首位の福住が逃げ、大湯も3位との差を広げる一方で、4位以降は集団での激しいバトルが展開。8周目には坪井が前車をパスし3位へと浮上。TGR勢のトップ3となりました。
規定の10周を終えると、義務づけられているピットでのタイヤ交換を消化すべく徐々にピットへ。上位勢では、2位の大湯が13周を終えてピットイン。翌周には首位の福住がピットへと向かいました。しかし、福住はこのピットで左フロントタイヤの交換に手間取りタイムロス。ピットを終えた組の6位まで後退することとなりました。
先にピットを終えた組では、野尻智紀(TEAM MUGEN)の先行を許す形となっていた大湯は、17周目に野尻をかわしてピット消化組でのトップに浮上。ピットに入らず首位を行く坪井と、見えない首位争いを繰り広げることとなりました。
福住もハイペースで追い上げ、22周目に笹原、24周目には国本をパス。ピット消化組の4位へと順位を上げました。
首位を行く坪井は、28周を終えたところでピットインすると、ピット消化組の4位でコースに復帰。タイヤが暖まるまで福住の猛追を受けますがこれを凌ぎきると、暖まった新品タイヤで猛追を開始しました。
30周目に牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)をかわすと、その周の最終コーナーでは野尻のすぐ後まで追いつき、ストレートで野尻をパス。事実上の首位を行く大湯に続く2位へとポジションを上げました。
勢いに乗る坪井はみるみるうちに大湯との差を詰めると、34周目のストレートからTGRコーナー(1コーナー)進入で並びかけ、一旦は引いたものの2コーナーでパス。実質上の首位に立ちました。
坪井は後続との差を広げていき、39周目を終えたところでピットイン未消化だった車両がピットインしたことで首位に浮上。最後は2位に7秒の大差をつけてトップチェッカー。今季初勝利を飾りました。2位には大湯が続き、TGR勢は1-2フィニッシュ。
坪井にとっては2020年最終戦富士大会以来4年ぶり通算3勝目。TGR勢にとって「ホーム」である富士では2022年の第1戦以来2年ぶりとなる勝利をもたらしました。坪井はこの勝利で、記念すべき「瑶子女王杯」の第1回ウィナーとなりました。
また、坪井は配偶者の斎藤愛未選手が併催のKYOJO CUPで今大会の2レースを制しており、夫婦でこの週末富士を制覇することとなりました。
ポールポジションから健闘を見せた福住は最後まで表彰台を争いましたが惜しくも届かず4位。国本が6位、小林が8位。そして平良が9位に入り、スーパーフォーミュラデビュー2戦目にして初のポイント獲得を果たしました。
VANTELIN TEAM TOM’S 36号車 ドライバー 坪井翔:
ずっと切望していた優勝だったのでめちゃくちゃ嬉しいです。こんなに嬉しいのは久々です。今年はチームを移籍して、開幕戦ノーポイントから始まったので、シーズンどうなるかなと思った部分もありました。でも徐々に手応えを感じつつある中、予選4番手を取れたので、富士だったらペースが良ければチャンスあるのかなというところでしっかり勝ち取れたので良かったです。今回はテストの段階から、どちらかというとロングランの方が自信はあったのですが、予選もなんとか2列目に入れたので、これはチャンスがあるぞと思っていました。スタートは結構良かったのですが、前の岩佐選手が失速して、それを避けるのに横に滑ってしまい、2台ほどに抜かれてしまいました。でもその後のペースが良いのは感じ取れたので、なるべく10周目までに前に行けるだけ行こうと、様子を見ながら、タイヤをマネージメントしながら、周りの動きを見ながらの走りでした。周りが早めに動いたので、逆に僕は引っ張る作戦でしたが、ピットに入るタイミングも抜群でしたし、その後のペースもずっとキープできました。チームが本当に良いクルマにしてくれて、最高の作戦で、これ以上言うことなしの最高のレース展開でした。今大会は彼女が2連勝してしまったので、嬉しい意味ですごいプレッシャーがあったのですが、でも本当に夫婦での優勝を有言実行できて、素晴らしい日になったなと思います。女王杯獲得も、この貴重な機会で最初の勝者になれたことは本当に嬉しいです。チームと一緒にこつこつと努力してきたのが結果に結びついたのかと思います。3位、3位、1位とようやくここで勝つことができて、後半戦に向けて良い流れを作れたのかなと思います。ただライバル勢もやっぱり速く、強いですし、チャンピオンシップを考えるともう負けられないので、なんとかくらいついていけるよう次戦も頑張りたいと思います。
VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING 39号車 ドライバー 大湯都史樹:
悔しいです。坪井選手が強すぎました。もう少し守ろうとしたのですが、ペースが違いすぎ、逆に競ると3位争いになってしまう可能性もあって冷静に最後まで走りました。いいレースができていたので、優勝できなかったのは本当に悔しいのですが、ここまで来られたというのがまず39号車、チームとしては大きな進歩だと思います。チームもメカもエンジニアもスタッフも、本当にもうみんな頑張ってくれて開幕からすごいパフォーマンス上げてくれたので、それを優勝で返したかったのですが、お預けですね。まあ悔しいです。これをバネにこの先のレース戦っていきたいなと思っています。やっぱりトムスもそうですし、無限チームもすごいポテンシャルが高くて、そこに何とか今食らいついていけるんじゃないかというところまで来ていますし、今回夏場のレースでこういう成績を残せたっていうのは、自分としてもポジティブな結果ですので、しっかり次のもてぎもこの好調をキープしつつ、さらにポテンシャルを上げているように優勝を狙って頑張っていきたいと思います。
全日本スーパーフォーミュラ選手権 第4戦 結果表
ドライバーズポイント(第4戦終了時)
リリース提供元:トヨタ自動車株式会社