トヨタ自動車株式会社は、欧州において、新型バッテリーEV(BEV)3車種を世界初披露した。
今回発表されたのは、「TOYOTA C-HR+」「bZ4X」「LEXUS RZ」であり、カーボンニュートラル社会の実現に向けた「マルチパスウェイ」戦略の一環となる。C-HR+はより航続距離を延ばしたバッテリー容量77.0kWh仕様により、最大航続距離600kmを達成。bZ4Xは航続距離向上と充電性能を強化し、LEXUS RZは高出力モーターを搭載した新仕様を追加した。トヨタは今後も多様な電動車を展開し、各市場のニーズに応えていく方針である。
TOYOTA C-HR+をはじめ、bZ4X、LEXUS RZの新型を欧州で世界初披露
-マルチパスウェイの取り組みのもと、BEVのラインアップを拡大-
トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)は、カーボンニュートラル社会の実現に向け、マルチパスウェイの取り組みのもと、欧州にてバッテリーEV(BEV)のラインアップを拡充していくことを発表しました。
カーボンニュートラルの実現に向けて
トヨタはこれまで「もっといいクルマづくり」を目指して、商品と地域を軸とした経営を進めてまいりました。その中で、カーボンニュートラルの実現に向けたパワートレーン開発においては、あらゆる国・地域の様々なお客様ニーズに応えうる電動車の選択肢を用意する「マルチパスウェイ」の取り組みのもと、多様なモビリティを展開しています。
欧州においては、他地域に比べ電動車保有率が高く、BEVの保有率も高水準にあることから、さらなるBEVの商品力強化が必要となります。トヨタは、「マルチパスウェイ」の取り組みを一層加速すべく、欧州で昨年末に発表したアーバンクルーザーと合わせ、欧州市場で主要となる小型から中型サイズのSUVをカバーできるラインアップとして、以下3つの新型車を発表しました。
Chief Branding Officer/Simon Humphries(サイモン・ハンフリーズ)のプレゼンテーションはこちら
https://global.toyota/jp/newsroom/toyota/42378652.html?adid=ag478_mail&padid=ag478_mail#presentation
欧州で発表した新型車
TOYOTA C-HR+
- BEVを新規導入
- 滑らかで目を引くスタイリングと、広々とした室内空間や大容量416Lの荷室といった実用性を両立
- e-TNGAプラットフォームを採用し、専用に調整されたサスペンションによって真に満足感のあるドライブ体験を提供
- 電池セルに改良を加えた2つのリチウムイオンバッテリーを設定。ベースとなるバッテリー容量57.7kWh仕様は航続距離455km*1を、より航続距離を延ばしたバッテリー容量77.0kWh仕様は航続距離600km*1を確保。合わせて前輪駆動タイプ、全輪駆動タイプを設定することでお客様に幅広い選択肢を提供
- 2025年後半から欧州で発売を予定
TOYOTA C-HR+ 欧州仕様 主要諸元(開発目標値)
駆動 | FWD | AWD | ||
---|---|---|---|---|
全長 | (mm) | 4,520 | ||
全幅 | (mm) | 1,870 | ||
全高 | (mm) | 1,595 | ||
ホイールベース | (mm) | 2,750 | ||
システム最大出力 | (kW) | 123 | 165 | 252 |
航続距離 | (km) | 455 | 600 | 525 |
0-100km/h加速 | (秒) | 8.6 | 7.4 | 5.2 |
バッテリー容量(総電力量)*2 | (kWh) | 57.7 | 77.0 |
*1 開発目標値
*2 IEC規格62660-1に準拠した方法にて測定
bZ4X
- TOYOTA C-HR+同様、2つのリチウムイオンバッテリーを設定。ベースとなるバッテリー容量57.7kWh仕様と航続距離向上を目指したバッテリー容量73.1kWh仕様をラインアップ。多様なお客様のニーズを踏まえバッテリーの選択肢を拡大。eAxleの高効率化もあり、73.1kWh仕様の航続距離は従来型比約70km*3延伸を追求
- バッテリープレコンディショニング*4初搭載。バッテリーを充電に最適な温度とし、冷間時での急速充電時間約30分*5を目標に開発
- eAxleの出力アップ、サスペンションのセッティング見直しなどにより、走りも進化。静粛性も含め乗り味もレベルアップ
- 2025年後半から欧州で発売を予定
bZ4X 欧州仕様 主要諸元(開発目標値)
駆動 | FWD | AWD | ||
---|---|---|---|---|
全長 | (mm) | 4,690 | ||
全幅 | (mm) | 1,860 | ||
全高 | (mm) | 1,650 | ||
ホイールベース | (mm) | 2,850 | ||
システム最大出力 | (kW) | 123 | 165 | 252 |
航続距離 | (km) | 445 | 573 | 520 |
0-100km/h加速 | (秒) | 8.6 | 7.4 | 5.1 |
バッテリー容量(総電力量)*6 | (kWh) | 57.7 | 73.1 |
*3 WLTPモードでの社内測定値
*4 急速充電の前にバッテリー本体の温度を調整する機能。トヨタ初
*5 -10℃時の急速充電時間
*6 IEC規格62660-1に準拠した方法にて測定
LEXUS RZ
- 走りのコンセプト“The Natural”を徹底的に追求し「Lexus Driving Signature」をさらに深化
- バッテリーEVシステムを全面刷新し航続距離を伸長、充電時間を短縮
- 高出力モーターを搭載した「RZ550e“F SPORT”」をラインアップに追加
- 「人とクルマの対話」を加速させ新たなドライビング体験をもたらすステアバイワイヤシステムを設定
- マニュアル操作のように駆動力を操作できる機能「インタラクティブマニュアルドライブ(Interactive Manual Drive)」を設定し、操る楽しさを提供
LEXUS RZの詳細はこちらをご確認ください。
https://global.toyota/jp/newsroom/lexus/42371927.html
今後もトヨタは、各地域でのお客様のニーズやカーボンニュートラルへの貢献に向け、HEV、PHEV、FCEVを含む、様々な選択肢の開発を進め、「もっといいクルマづくり」でお応えしてまいります。
Chief Branding Officer/Simon Humphries(サイモン・ハンフリーズ)プレゼンテーション(日本語訳)
皆さん、こんにちは。
ここブリュッセルで再びお話できることをうれしく思います。
中には1年前にお見かけした方々もいらっしゃいます。
あれから、自動車業界では大きな変化、断絶ともいえる変化が生じました。
予想していた変化もあれば、予想外の変化もありました。この1年の間、ステーブルであること、つまり、確固とした土台があることの重要性を改めて認識しました。
確固とした土台という強みがあるからこそ、未来へと立ち向かうことができるのです。
トヨタがステーブルでいられるのは、10数年以上前から当時の豊田 章男社長が、「もっといいクルマづくり」という言葉を呪文のように言い続けたからです。
言うまでもない、至極当然の言葉に聞こえるかもしれません。
人生の指針というのは非常にシンプルかつ、当たり前のことが多いものです。
章男さん自身、「もっといいクルマづくり」という、本質的でありながら曖昧な言葉を意図的に使いながら、私たちにデザイナーとして、エンジニアとして、プランナーとして、「もっといい」とは何か、自由に解釈してほしいと言っていました。そしてこれまで10年以上、私は章男さん、トヨタの仲間と共に「もっといいクルマ」とは何かを問い続け、その実現に向け取り組んできました。
私なりの「もっといい」の解釈を申し上げるとすれば、お客様の視点で物事を捉えることと言えるでしょう。
それは、「憧れの体験」を生み出すことです。
例を挙げると、タイで販売しているハイラックス チャンプのような日々働く人々の暮らしに徹底的に寄り添ったクルマ、機会を提供しています。日本のアルファードのような移動空間を再定義したクルマもあります。
また、「誠実な商品」をつくることです。
私は長年、トヨタとレクサスのデザインを担当してきた中で「なぜクルマのデザインをもっと統一しないのか?」と何度も聞かれました。
私は、クルマはそのコンセプト、つまり、お客様に提供する価値や存在意義を明確に表すべきだと考えています。
新型ランドクルーザー250は、その原点に立ち戻りました。
ランクルは「どこへでも行くことができるクルマ」ですが、最も重要なことは、「生きて帰ってこられるクルマ」であることです。そのデザインは優れた機能性を強く体現しています。
一方でプリウスは、優れた環境性能を持ちながら、「一目惚れ」するデザインの持ち主でもあります。
センチュリーは、あまりご存じないかもしれませんが、トヨタの伝統を象徴しながら、イノベーションをリードするクルマです。そのデザインと職人技は、日本の伝統と文化、最先端のテクノロジーまで、あらゆる側面からインスピレーションを得ています。
センチュリーからヤリスまで、お客様はそれぞれの商品の長所を評価しながら自分のために特別に設計されたようなクルマを選択できます。
これにより、アジャイルな商品開発をすることもできるようになります。
アジャイルな商品開発は、各地域でも実践されており、すべての地域に敬意を払うことこそが、「もっといいクルマづくり」の要と言えます。
bZ3C、bZ3X、bZ7といった中国専用モデルは、忙しい日常生活の中でオアシスを求めるお客様の要望にマッチする、新たな体験を提供するデザインです。
米国では、アウトドアで自らを解き放つことができるよう、タコマや4ランナーといったラインアップを取り揃えています。
そして、次はここヨーロッパです。
アイゴXはヨーロッパの道路に合った小回りの利く、個性的なスタイルが特徴のクルマです。
トヨタは、全世界に従業員数38万人、研究・開発拠点は22カ所、生産拠点は69カ所を擁しています。
トヨタは各地域で受け継がれている知識、体験、文化に敬意を払い、世界のどこであっても「町いちばん」の会社になることをめざしています。
トヨタ自動車は年間1,000万台のクルマを3つのブランドから販売しています。各ブランドには、お客様に愛していただけるクルマを届けるという強い想いと役割があります。
レクサスとは、新たな発見です。
前回もこの場でコンセプトモデル、LF-ZCを紹介しました。最新テクノロジーを駆使した没入体験を通じ、未来のモビリティを発見できます。常に革新に挑戦し、お客様に新たなモビリティ体験を提供します。
こうした未来への歩みは既に始まっています。新型レクサスRZにはステアバイワイヤシステムとバーチャルギアシフトが搭載されます。
GRとは、パッションです。
モータースポーツは、過酷な環境でクルマの性能とエンジニアの能力を極限まで高めてくれます。
レースで鍛えられたパフォーマンスをお客様に提供することができます。
会社全体の開発の競争力の向上にも繋がります。
そしてトヨタは、「すべての人に移動の自由と楽しさ」を提供するという理念を掲げています。
すべてのお客様が自分に合ったモビリティを選ぶことができることです。
「もっといいクルマづくり」のための取り組みとは、まさにお客様に選択肢、そして機会を提供することです。
トヨタのサステナビリティの取り組みもこうした考え方に基づいています。
さて、我々が避けては通れない、最も重要と言えるパワートレーンについてお話ししたいと思います。
ご覧になったことがあると思いますが、この図は、クルマのパワートレーンのマルチパスウェイを示しています。
トヨタの考え方が珍しいと言っているわけではありません。
クルマの実用性、お客様の要望に応じようとすると、多様なシステムが併存するということは、昔から何ら変わっていません。
今日、私はこの場で答えは一つだと言うつもりはありません。
トヨタのマルチパスウェイ戦略は非常に幅広く、各地域にふさわしい在り方があり、進化をしていくのです。
南米では新型フレックス燃料ハイブリッド車を、日本ではセダンタイプの新型燃料電池自動車を提供しています。
ヨーロッパでは本日、3車種の新型BEVをご紹介します。
2022年に新たなBEVシリーズ、bZ4Xを発表しました。オフロードや雪道での走破性、パッケージング、デザイン。全てにおいて長年クルマを作り続けてきたクルマメーカーだからできるものでした。
しかしながら、発売にあたって数々の困難に直面しました。
そういう時は、長年受け継がれてきたトヨタの原則に立ち返りました。
つまり、トヨタの商品を使われてきたお客様、販売店、メディアの声に耳を傾けることです。
簡単なプロセスではありませんが、こうしたカイゼン活動を繰り返しました。
その結果、bZ4XはBEVが市場の殆どを占めるノルウェーでNo.1を獲得しました。心から誇りに思っています。
そして、この度、さらにカイゼンを重ねた、新型bZ4Xです!
いかがでしょうか?
よりパワフル、よりスポーティになりました。新しくなったのはデザインだけではありません。
航続距離の向上はもちろん、出力は最大50%アップしました。
充電時間はモデルによってこれまでの半分で完了します。けん引能力も倍増しました。
インテリアも刷新、新たに14インチ マルチメディアディスプレイや新たなソフトウェアを搭載し、ドライビングをサポートします。
こうした新型bZ4Xの取り組みは、すべて、アクティブかつ、カーボンニュートラルなライフスタイル実現のためでもあります。
私たちは、これからも新たな道を模索し続けます。
地域と共に新たなパス、つまり道を切り開いていきます。それを象徴するクルマがC-HRです。
お客様を驚かせることによって成功することができると証明したクルマです。
初めてコンセプトカーを披露した時は大きな反響を呼びました。
C-HRは、ヨーロッパのためにヨーロッパで生まれたクルマです。新たな市場を開拓し、100万台を超えるベストセラーになりました。
2代目C-HRもカイゼンを繰り返した結果、革新的かつ大胆なデザインとなりました。他とは違うスタイルを求めるお客様から支持されています。
BEVをトヨタの欧州ポートフォリオの中心に据えるべく、C-HRにBEVモデルを導入することを決めました。
ここにいる皆さんは、2021年のBEV戦略に関する説明会で、章男さんがC-HRを世界初披露したことを覚えているかもしれません。
章男さんが「乗ってみたい、走らせてみたい、そう思えるスタイル」と言ったことを私も覚えています。
C-HRのBEVは、「もっといいクルマづくり」という想いから生まれたクルマです。
BEV専用のe-TNGAプラットフォームを採用することで、航続距離は最大600km、最大出力は340馬力を超え、0-100km/h加速は最速5.2秒という驚異的なダイナミクス、驚異的なアジリティ、驚異的な実用性を実現しました。
C-HR+は、憧れの体験を提供するクルマです。
C-HRが誕生したヨーロッパに大いなる敬意を込めて、お待たせしました。C-HR+です!
以上
リリース提供元:トヨタ自動車株式会社