【brand pickup】
スプロケットの素材というと、アルミ製、中でも「超々ジュラルミン」というイメージがあるのでないだろうか。言葉の響きも強くいかにも丈夫そうだ。
しかし、現在のバイクレースの世界ではスチール製のスプロケットが使われているのだ。
なぜ?と思うかもしれないが、それは最新マシンの性能が向上していることに理由がある。
タフライトスチールスプロケットを製造しているXAM(ザム)の製品を使い、全日本ロードレース選手権に参戦しているトップチーム「Astemo Honda Dream SI Racing」に、タフライトスチールスプロケットがなぜ選ばれているのかをインタビューした。
タフライトスチールとは?
タフライトスチールスプロケットにはS45C材というスチール材を使い、緻密な肉抜きの設計で軽量化がはかられているスプロケットだ。
S45Cとは機械構造用炭素鋼で、Sはスチール、Cは炭素を表しており、この45とは炭素量が0.45%であることからS45Cと表されている。
流通量が多く、構成部品やピン、ボルトなどに使用される。
対して、アルミ製スプロケットの材料としてよく用いられる素材は超々ジュラルミン(A7075-T6)。
A7075の成分の特徴としてはAl-Mg-Zn系にCu、Crが添加されている合金だ。
アルミ合金の中では高強度で、それでいて切削できる強度であり、航空機・人工衛星・ロケット・鉄道車両・スポーツ用品(スキー用品、バット)など幅広く用いられている。
それぞれの素材の特徴は下記の表の通り。
材質 | 引張強度 | 耐力 | 伸び | 硬度 | 比重 | |
S45C | 焼ならし | 570MPa以上 | 345MPa以上 | 20%以上 | 167~229HBW | 7.8 |
焼入れ・焼戻し | 690MPa以上 | 490MPa以上 | 17%以上 | 201~269HBW | 7.8 | |
7075-T6 | 560MPa以上 | 500MPa以上 | 7%以上 | 150HBW | 2.81 |
S45Cと7075-T6を比べてみると比重こそ7075-T6のほうが小さいが、焼入れ・焼戻しされたS45Cの耐力は数値的に近く、引張強度は高い数値なのがわかる。
このS45Cを使用したタフライトスチールスプロケットの歯の部分には高周波焼き入れがされている。
S45C材を使い精密な肉抜き加工で軽量化され、高周波焼入れされたタフライトスチールスプロケットは、これら特性から現在のハイパワー&大トルク化した最新レーシングマシンのスプロケットには最適だというのだ。
実際にレースで使用しているチーフメカニック&ライダーたちの声!
過酷な環境のレースシーンで、アルミ製に代わりスチール製スプロケットが選ばれているのには理由がある。
なぜスチール製なのか? 現場で戦うチームに聞いてみた。
KRT(KOHARA RACING TECHNOLOGY)代表
小原 斉氏
「レース用のスプロケットと言えば軽量のアルミ製が主流でしたが、近年のオートバイの性能向上に伴い、アルミ製では異常摩耗や歯飛びと言った問題が起きる様になりました。
ザムの『タフライトスチール』スプロケットは、極限の軽量化を実現した上で、耐久性も非常に高く、レースシーンには欠かせないアイテムとなっています」。
渡辺 一馬選手(クラス:ST1000、#1)のコメント
「ザムのスプロケットは何よりもデザインが気に入っています。
形状や色味と走行の前後に目に付く重要なパーツですのでモチベーションを高めてくれます」。
作本 輝介選手(クラス:JSB1000、#27)のコメント
「スプロケットの歯飛びや、チェーンが外れる心配が無く、安心してパワーを掛けることができます。
後輪にパワーを確実に伝えてくれる安心感が気に入っています」。
トップチームから絶大なる信頼を寄せられているXAM
厳しいレースの世界で認められたスプロケットをリリースしているXAM(ザム)。まさに究極の世界で戦ってきたからこそ、高い信頼性と耐久性はお墨付きといえよう。
「これまでレースサポートでトライ&エラーを繰り返し、
いまのタフライトスチールスプロケットの耐久性かつ軽量を備えた商品ができました。
これからも常に新しい素材・新しい加工技術・新しい表面処理などにアンテナをはり、
進化したスプロケットを追求していきたいと思います」。
レーシングマシンはもちろんのこと、公道を走るマシンも技術の進歩も凄まじく、市販車のNinja H2に至っては最高出力231psとパワーも桁違いになっている。
高い耐久性、信頼性をもち、見た目も映えるXAMのタフライトスチールスプロケットを選んでおけば間違いはない!!