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次々と「気持ちイー!」バイクマフラーがSP忠男からから生まれるワケとは?

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

【brand pickup】

バイクを買ったら、自分好みに愛車をカスタムしたい!
ライダーなら誰でも一度はそんなことを考えたことがあるのではないでしょうか。ハンドルやシートを交換して乗りやすくしたり、スマホホルダーを装着して便利なツーリングを楽しんだり、サスペンションやタイヤをグレードアップしてスポーツ性を高めたり……カスタムの方向性は人それぞれです。極端なことを言うと、道交法さえ守っていれば、そこには正解も不正解もありません。自分がやりたいことを実現する、それがカスタムなのですから。

バイクに乗る大きな楽しみのひとつでもあるカスタム。なかでも人気のカスタムがマフラー交換です。バイクを購入して真っ先にマフラーを交換する! そんなライダーも多いハズ。

「もっといい音を楽しみたい」
「もう少しパワーやトルクが欲しい」
「レーシングマシンのようなルックスにしたい」

マフラー交換にはいろんな夢がありますよね。
でも世の中には数多くのマフラーメーカーが存在していて、人気の車種ともなれば、さまざまなメーカーから数十種類のマフラーがラインナップされている、なーんてことも。もちろん、選択肢が多いことはオーナーにとってはありがたいことですが、逆に何を選べば良いのかわからなくなってしまうのもよくあるハナシ。

「じゃあ何を基準にマフラーを選べばいい?」

ライダーを悩ませるこの命題に対する最適解。それはSP忠男が提唱する「気持ちイー!」マフラーかもしれません。

SP忠男最新作、ヤマハMT-09用のPOWERBOX FULL RS。MotoGPマシンを思わせるようなスポーティなショートマフラーは、集合部にサブチャンバー=POWERBOXを装備することでSP忠男マフラーのウリとなる「気持ちイー!」を実現。この「気持ちイー!」に込められた開発ストーリーとは……。

一風変わったキャッチコピー「気持ちイー!」が生まれるまで

目次

1.SP忠男ブランドの誕生

現在、日本でも指折りのラインナップを誇るマフラーメーカーのひとつSP忠男は、ヤマハのファクトリーライダーとして日本のモトクロス黎明期に大活躍した、「忠さん」こと鈴木忠男氏が1976年に立ち上げた老舗の用品ブランドです。創業以来力を入れているのがリプレイスマフラーの開発で、70年代や80年代には2ストロークモデルのチャンバーも数多く製造。特に「ジャッカルチャンバー」と名付けられた高性能チャンバーはレーサーレプリカ御用達のチャンバーとして一世を風靡しました。

同時に4ストロークマシンのマフラーも精力的にリリースし、原付からビッグバイクに至るまで、これまで数千種類のマフラーを送り出してきました。また、並行して忠男レーシングとしてレース活動にも注力。MotoGPライダーの中野真矢選手をはじめ、全日本選手権で圧倒的な強さを誇る中須賀選手など数多くのトップライダーを輩出したことでも知られています。

2.SP忠男マフラーの開発を支えるスタッフたち

ベースモデルの素性を見抜き、ハイパフォーマンスを実現する。どんなマフラーメーカーもそんな理念を抱いてマフラーを製造しています。マフラー交換は数あるカスタムの中でも五感に訴える要素が大きなカスタムのひとつでしょう。純正マフラーとは異なるサウンドを吐き出すだけでなく、スロットルを開けた時のエンジンの反応やパワー&トルクの特性も変化する……それがリプレイスマフラーの醍醐味です。

SP忠男でも乗り手をワクワクさせるマフラーを開発すべく、現在4-5名のスタッフたちが専属でマフラーの開発に当たっています。新型車が出るといち早く車両を入手して、市街地からワインディング、高速道路など数ヶ月にわたって走り込み、仕様を細かく変更しながら開発を進めます。これまでリリースしたマフラーの中には、製品化までに1年もの歳月を費やしたものもあるそう……。

こちらはヤマハTRACER 9 GT用のPOWERBOX FULL RS。ツアラーマシンということもあり、乗り手が疲れないようにスロットルレスポンスに絶妙なラグを作ることで「気持ちイー!」を実現。サウンドはもちろん、低速域から中速域へのつながりや高速域での爽快感もこだわりのポイント。

3.キーマンが語るマフラー作りのノウハウ

「気持ちイー!」をキーワードにこだわりのマフラーを生み出し続けるSP忠男。同社常務の大泉さんは、30年以上にわたってSP忠男のマフラーの開発を担ってきたキーマンです。

「マフラーの性能は、基本的に“長さ(管長)”と“太さ(パイプ径)”の組み合わせで決まります。近年のモデルでは排気ガスを浄化する“触媒”も重要な要素となりますが、“長さ”と“太さ”がマフラーの性能を決めていることには変わりありません」

とは大泉さん。さらに近年では、マフラーの全長が短いショートタイプのマフラーの人気が高いそう。MT-09やMT-07の人気のスポーツモデルでは、サイレンサーエンドがスイングアームピボット(付け根)付近で終わるショートマフラーを純正でも採用していますが、リプレイスマフラーでもやはりそうしたスタイルが人気だといいます。

美しいチタンカラーが目を引くヤマハMT-09用のマフラー。純正同様のショートタイプながら、サイレンサーエンドが僅かにフレアした迫力のスタイル。エンジン真下に位置する集合部には、POWERBOXと呼ばれる大型のサブチャンバーを増設することで低速域や中速域での扱いやすさも実現。じつはこのPOWERBOXの取り付け位置が数ミリ変わるだけでもマフラーの特性は激変するそう!

しかし単純に全長が短いマフラーを作ってもSP忠男が提唱する「気持ちイー!」は実現できないとのこと。というのも、MT-09やMT-07はそもそも欧州市場を念頭に開発されたモデルであり、大泉さんたち開発チームによれば、エンジンやマフラーの特性は日本のストリートではギクシャクしてしまう部分もある、そう分析しています。

実際、80km/h-100km/hのような速度域で走るヨーロッパのワインディングと、タイトかつ制限速度が低い日本のワインディングでは巡航速度にも大きな違いもあります。想定するステージが大きく異なるのですから、そうした車両を日本の市場にそのまま持ち込んでもフィットしない部分が出てくるのは仕方のないところ。そこでSP忠男のスタッフたちは、数ヶ月に渡って街中からワインディング、高速道路まで入念な走り込みを重ねることで日本のストリートに合わせた特性を作り込んでいくのです。

4.「気持ちイー!」とは何か。ズバリ聞いてみました

それを踏まえた上で、SP忠男が提唱する「気持ちイー!」とは何か。大泉さんにズバリ聞いてみました。

「心地よさと爽快感、それが私たちが打ち出す『気持ちイー!』の正体です。

どんなモデルでも楽しく走るにはライダーとバイクの信頼関係が大切なんです。たとえば『このバイクはちょっとおっかないな』とライダーが構えてしまうと、走りを楽しむことはできません。それはつまり、ライダーとバイクの間に信頼関係が築けていないということ。

でも逆に『このバイクは扱いやすくて乗りやすいな』とバイクとの信頼関係が築ければ、ライダーにとって大きな安心感につながります。つまり結果的に楽しく乗れるようになるんですよ。私たちがマフラーを作るときには、バイクがライダーを裏切らない、そんな特性を実現することをいつでも念頭においているんです」

開発にはとても苦労したというセロー250用のPOWERBOXマフラー。セローは純正マフラーの完成度が非常に高く、さらに年式によってエンジンの特性が微妙に変化しており、その度に納得いく特性を生み出すまでに何度も試作品を作って試乗を繰り返したとか。このセロー用のマフラーで得たノウハウも相当にある、とは大泉さん。

しかし、作り込んだマフラーをライダーたちへ、どうやってアピールするか。長年にわたって試行錯誤を続けてきたそう。

「たとえば、街中など常用域での乗りやすさを重視したマフラーを作っても、『低速重視のマフラーだ』なんて言われたりしてしまうんですよ。でも実際はそうではなく、徹底した走り込みで低速域や中速域をしっかり作り込みながら、高速域の性能もしっかり出しているんです。その逆も然りでトップエンドのパワーを売りにすると、低速域で乗りにくいマフラーというように捉えられてしまいがちです。だからSP忠男では、もっとわかりやすい言葉を使って私たちの作るマフラーの良さを伝えたかった。

バイクとの信頼関係も構築できて、純正マフラーよりも面白く、もちろん胸のすくようなサウンドだって楽しめる。その特性を直感的にわかりやすく伝える言葉として生まれたのが『気持ちイー!』だったのです。

実はこれって鈴木忠男が現役時代からことあるごとに口にしていた言葉なんです。『走ってて気持ちいい方がイイに決まってるじゃん!』ってね」

SP忠男の代表、忠さんこと鈴木忠男さん。写真は2018年の全日本モトクロス選手権で開催されたエキジビジョンでのひとこま。ヤマハファクトリーライダー時代に走らせた同型のDT-1で現役さながらの豪快すぎる走りを披露! 「気持ちイー!」は現役時代からの忠さんの口癖だったのです。
こちらは大人気モデルZX-25RR用のPOWERBOX FULL。まるでMotoGPマシンのようなショートスタイルと作り込んだサウンド、こだわり抜いた乗り味で大ヒットを記録中。マフラーを評価する指標としてはダイノマシンなどで計測した性能曲線グラフが知られていますが、「グラフだけでマフラーを作っても、いざ乗ってみると意外に面白くなかったりする」とは大泉さん。グラフではなく体感性能で作り込む! それがSP忠男のマフラーの真骨頂なのです。
こちらも大ヒット記録中のZ900RS用のPOWERBOX FULL RS(写真下)。Z900系のマフラーでもやはりショートタイプの人気が高いそう。Zといえばショート管! というイメージは現行モデルでも変わらないんですね。

5.時代によってマフラーへの要求も変化している!?

このようにSP忠男のマフラーが「気持ちイー!」というキャッチフレーズを使っている裏には意外な理由がありました。
また、大泉さんによれば、マフラーに求める性能も時代とともに大きく変化していると感じるそうです。90年代や00年代にはリッタースポーツバイクのハイパフォーマンス化が進んだこともあり、圧倒的なハイパワーとトップエンド領域での性能をマフラーに求める声が多かったと言います。しかし、近年ではそうした声よりも常用域での扱いやすさやスタイルなどを求める傾向が強くなっているそう。

上はホンダCT125ハンターカブ用、下がホンダレブル250用のマフラー。どちらのモデルも街乗りやツーリングを楽しむモデルとあって、リプレイスマフラーでは低速域・中速域のいわゆる「常用域」での乗りやすさが求められます。SP忠男では、徹底した試乗を通じてベース車両の素性の良さを引き出しながら、よりライダーにとって乗りやすい特性のマフラーを開発したそう。


近年、SP忠男は全国各地でオリジナルマフラー装着車の試乗会を展開しています。その試乗会では、いまのライダーたちがどんな風にバイクに乗るのか、スロットルの開け方などを含めてスタッフたちが細かに観察しつつ、実際のライダーたちの声を聞いて製品作りに活かしているといいます。そうしたリサーチの結果、極端な高性能を求めるのではなく、普段使いする領域=常用域での特性を重視したマフラー作りの方が、いまのライダーたちには支持される傾向にあるという結論に辿り着いたそうです。

マフラーメーカーとして高性能マフラーを押し付けるのではなく、徹底した市場のリサーチを通じて時代の変化やライダーのニーズを読み取り、徹底した試乗によって特性を作り込んでゆく。それがSP忠男が提唱する「気持ちイー!」の正体でした。その真摯なものづくりの姿勢は、SP忠男のWebサイト内の「SP忠男のマフラー開発奮闘記」でもしっかり読み取ることができます。

東京・浅草に店舗を構えるSP忠男浅草店。丹精込めて生み出したマフラーも数多く展示するほか、一般整備やカスタムも受け付けています。
スタイリッシュな店内にはNITORNのサスペンションや各種カスタムパーツ、オイル、タイヤがずらり。「気持ちイー!」走りを全方位で提供する頼れるスペシャルショップなのです。■所在地/東京都台東区花川戸2-17-10

今回はマフラーブランドのSP忠男が提唱する「気持ちイー!」の秘密に迫ってみました。実際にSP忠男のマフラーがどんな走りを生み出すのか、気になる方はぜひ試乗会で確かめてみましょう。そしてスタッフへ素直なインプレッションを伝えてみましょう。あなたのインプレッションが新製品誕生の鍵を握っているかもしれませんよ!

こちらはMT-09用POWERBOX FULL RS耐熱ブラック。XJR1300のような往年のビッグネイキッドを彷彿とさせるような、豊かなパワーフィールと乗り始めてすぐに体感できるホッとできる安心感を両立させた自信作。その乗り味はぜひSP忠男の試乗会で確かめてみましょう。

SP忠男チャンネルで動画もチェック!

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