筆者は去年までバイクパーツメーカーに勤務していたが、二人の子持ちで共働き家庭なので帰宅後や休日は家の事や育児に追われていた。父親なら当然のことだ。
独身で子供がいなかった頃はふらりと一泊ツーリングに出かけることもできたが、今もし実行するとしたら妻の機嫌を伺うなど綿密なプランが必要になる。。。
だが今年は違う。バイクのコンテンツ記事や動画を作ることが仕事なので、「仕事で」一泊ツーリングに行くこともあるし「仕事で」キャンプに行かなければいけない。
バイクに荷物を積んで出かける旅で大事なものは大容量のシートバッグだが、しばし物色していなかったので各メーカーホームページを見ると魅力的な製品が盛りだくさんだという事に気が付いた。
今回は特徴が異なる4つの大容量シートバッグを取り寄せてみた。
これから泊りがけやキャンプツーリングに出かける予定の方は参考にして頂きたい。
レブル250【500】へのシートバッグ取り付けはパーツ追加がお手軽
シートバッグの固定は基本的には四か所で行う。取材用に借りていたレブル500に装着しようと思ったのだが前側はフレームやタンデムステップに固定することができるものの、後ろ側は固定する場所がない。
そこでアマゾンでTANAXのMOTOFIZZプレートフック3をゲット。プライム会員だったので送料は無料、販売価格は1764円で翌日には届くのだから日本の物流はスゴイ。
※価格は4月の取材当時のもの
ナンバープレート裏に装着する汎用品なので、シートバッグ取り付けに困っている人は簡単になるので試して頂きたい。
今回試しに収納するアイテム
自宅にあったキャンプ用品を使って収納力をチェックしてみようと思う。アイテム詳細は以下の通りだ。
テント・シュラフ・チェア・クッカー・ランタン・コップ・シングルバーナー・OD缶・テーブル・マット
CAMP SEAT BAG PRO <DH-745> 55~70L LLサイズ
どのシートバッグを選んで良いのかわからないという人にはデイトナのCAMP SEAT BAG PROをお勧めしたい。
S~LLまで4サイズ展開しており好みのサイズを選択することが可能だが、宿泊を伴う場合やキャンプツーリングには一番容量が大きいLLサイズが良いだろう。取り付けに関してもシートバッグの装着経験がある人なら迷うことはないし、説明書を見れば初見でも難しく感じることはない。
メイン収納部分を開けると内装が赤いので荷物が見えやすく、全ての荷物を納めると7割ぐらいといったところだがCAMP SEAT BAG PROは左右を広げることで15L容量をアップすることができ、左右にメインとは別に荷室があるので財布や携帯電話など休憩の度に取り出すものに関してはサイドポケットに入れておくと良いだろう。
本体上には大型のフラップがついているのでマットを挟んでハーネスでしっかり固定することが可能だし、Dリングやデイジーチェーンもあちこちに配置されているので、ユーザーの工夫次第で収納力をアップさせることができる。
個人的に推したいのがCAMP SEAT BAG PRO下面にノンスリップシートとスライドストッパーを採用することで前ズレを防止する機能だ。運転中荷物がズレてくると不安で仕方がないのでありがたい。スーパースポーツやストリートファイター系などタンデムシートがコンパクトなバイクにもおすすめだ。
他にもペットボトルホルダーを装備していたり、雨天時に使える防水カバーを付属するなどシートバッグに求められる機能モリモリなので、容量が大きくて使い勝手の良いシートバッグが欲しい!というのであればダントツにおすすめしたい逸品である。
キャンプテーブルシートバッグ(カーボン柄)
タナックスのキャンピングシートバッグ2はユーザーが多く、デイトナのCAMP SEAT BAG PRO同様に大容量で多機能なため、文句なしにおすすめのアイテムなのだが、個人的に推したいのはキャンプテーブルシートバッグで理由はオンリーワンだか。
最大の特徴は天板部分が超頑丈なポリカーボネイト素材で作られていることで、カラーはブラック、カーボン、ブラウンの三色あるが、やっぱりスポーティなカーボンを推したいところだ。
単純に天板がポリカーボネイトというだけではセールスポイントとして弱いが、実はテーブルとして使うことができるのが最大の特徴となり、天板のフラップ二か所を外すと下からテーブル脚が登場し、広げて装着することで倍のスペースを確保することができる。
天板以外は1680Dナイロンという事だが硬いフレームのようなものが入っており、質感としてはリアボックスに近いような印象を受けた。取り付けに関してはこちらも簡単で説明書もわかりやすいので安心、通常はバッグと取り付けベルトは一緒に外す必要があるのだが、接続バッグルを使用することでベルト類のみ安全にバイクに装着したままにすることができる。
肝心の収納量というと、マット以外の荷物は全てメイン荷室に収納することができ、大体8割程度の容量を使っている感じだった。マットは長さの都合で納めることができなかったが、「マットはこちら」と言わんばかりにバッグ前面にホルダーベルトが装着されており、取扱説明書にも同所にマットを固定する方法が記されている。
また取り扱い説明書にはテントをバッグ上に固定する方法も掲載されていた。バッグは横幅540mmと十分とは思うが長物はバッグ上に固定できるから安心感がある。荷室はメイン収納のみだが、バッグ外側にはペットボトルホルダーが装着されている。またこちらも雨天時に使えるレインカバー付属という点もありがたい。
コンテナシートバッグ64
今年ラフアンドロードはキャンプギアにも本格参入し、テントやシュラフなどをリリースしている。ラフアンドロードは用品からハードパーツまで幅広く扱う総合メーカーなので、自社のキャンプギアに合わせて使うシートバッグも用意しており、それがこちらのコンテナシートバッグ64だ。
容量としては55L~64Lなので今回紹介している他のバッグと遜色ないが注目したいのは幅と高さの寸法、幅は600~700mm、高さは230mmと幅が広く高さが低いのが特徴なのだ。高さが低く低重心だと乗り降りの際に足が当たりにくくなるし、ハンドリングへの影響も小さくなるのがメリットで、幅と奥行で容量を稼いでいる印象だ。
取り付けに関しては忖度なく言わせていただくと少々わかりづらい。初見で装着しようと思うと「ん?」と作業が止まってしまうことがある。説明書もできればもう少しわかりやすいとありがたい。だが装着してしまえばしっかり固定できるし、ストラップの擦れによる傷を防ぐ機構は他メーカーには見受けられなかった。
コンテナシートバッグ64には車体に固定するためのハーネスが6本用意されており、2本は余るがバッグ前側に装着することで長物を固定することができる。メイン荷室は拡張前の状態でマット以外を納めて9割程度といった感じで、マットは前述したバッグ前側のハーネスに収めることができた。
上部フラップは裏側にファスナーが付いており細かいものを収納することができ、樹脂プレートが付いているので形が変形せずフラップとバッグの間に荷物を挟むのには適していないが、バッグ上面への積み込みを考慮した設計となっておりDリングやウェービングベルトなどが上部に配置されスタッキング前提としたバッグという事がわかる。
メイン荷室の他に前側に大容量のポケット、後ろ側のファスナーを開けると万が一雨が降った際に使えるレインカバーが確認できた。スタッキング前提のバッグではあるが単体でも十分活躍できる容量と使い勝手と言えるだろう。
トルネード2 ドラムバッグXL
他の3つのバッグに関しては雨天時に使えるレインカバーが付属されているが、雨というものは思いもしないタイミングで降ってくるものだ。雨雲レーダーや天気予報で確認してから出発したのに、急な雨に降られてしまった経験はライダーなら誰しもあるのではないだろうか?
急な雨が降ってきたとしても心配無用なのがエンデュリスタンのトルネード2ドラムバッグで容量はS~XLまで4サイズラインナップされており、最大サイズのXLを車体に装着してみたが他のシートバッグが一回り小さく見えてしまうほど巨大だ。
素材に関してホームページ等では言及されていないが質感的にはターポリンと思われ水が浸入することはまずないだろう。更に水が入りやすい生地同士のあわせ部分は糸で縫うのではなく、溶かして接合する溶着が使われている。メインの荷室に関してはロールトップになっており、使い勝手面で好き嫌いが分かれるところだが防水性の高い止水ファスナーと比べても信頼度が高いので、ここまで対策されていれば完全防水というメーカー表記も間違いないだろう。
取り付けに関してはストラップ類が付属されていないので、別途用意する必要があるがオリジナルROKストラップを推奨している。筆者はROKストラップを愛用しており米軍でも採用された実績のある使い勝手の良い荷物固定ベルトだ。オリジナルROKストラップに関してはエンドの部分が異なる仕様となっている。
車体へのシートバッグの取り付けはオリジナルROKストラップを固定しつつバッグ本体のウェビングに通して固定する形になる。コツはできるだけバッグ内側のウェビングに通すこと、そしてバッグ底に長物を入れて左右が垂れ下がりにくくすることだ。
82L容量は伊達じゃないので荷物を全て収納しても6割といったところだが、ワンサイズ小さいLだと51Lなので泊りがけやキャンプツーリングならXLサイズを選びたいところだ。内装は赤を採用しており、中に入っている荷物が確認しやすくメッシュポケット3か所とファスナー付きポケットが一か所ついているので、細かい物はこちらに収めることができる。
他のシートバッグに比べて形状がシンプルで付属品や機能は限られるが、ROKストラップがあれば車体への装着は困らないし、圧倒的な防水性能は筆者のような雨男ライダーには心強い事この上ない。
まとめ
- CAMP SEAT BAG PRO <DH-745> 55~70L LLサイズ:全部盛り
- キャンプテーブルシートバッグ(カーボン柄):テーブルとして使えるのがスゴイ!
- コンテナシートバッグ64:低重心でスタッキングしやすい
- トルネード2ドラムバッグXL:雨の時に慌てない
それぞれのシートバッグの特徴は一言でいえばこんな感じになる。
どれを選んで頂いても泊りがけ、キャンプツーリングでは快適に使うことが出来るだろうが、そのうえで自分にとって重視するのはどの点なのか?を意識して選んでもらえれば間違いないだろう。
文/写真:相京雅行