アドベンチャー、スクランブラー、クルーザーといった異なるカテゴリーのバイクは、それぞれ独自の魅力を持っている。アドベンチャーバイクは、多様な路面での走行を想定し、高い汎用性を備えたモデルが多い。スクランブラーは、オンロードとオフロードの両方で軽快な走行を楽しめる設計が特徴で、クラシックなデザインと現代的な性能を融合させたスタイルが人気だ。クルーザーは、ゆったりとしたポジションでリラックスしたライディングを楽しむことができるバイクとして知られる。
今回取り上げるのは、アドベンチャーカテゴリーのBMW G310GS、スクランブラーカテゴリーのトライアンフ スクランブラー400X、クルーザーカテゴリーのロイヤルエンフィールド メテオ350だ。先に公開している前半の記事では足着きや取り回し、各部の比較や荷物の積載をチェック。今回の後半では実際に試乗した感想をお伝えしよう。
3台がどのような車両なのか簡単に紹介
G310GS：アドベンチャー初心者に最適な入門機
BMWが手がけるG310GSは、アドベンチャーバイクのエントリーモデルとして、多様な路面やシチュエーションに対応可能な汎用性を備えている。軽量かつ高い視点が特徴で、舗装路から未舗装路まで幅広く対応。初心者でも扱いやすく、アドベンチャーカテゴリーの魅力を存分に体感できる一台だ。
スクランブラー400X：クラシカルでスポーティな万能モデル
トライアンフのスクランブラー400Xは、クラシカルなデザインにスポーティな性能を加えた、スクランブラーの特徴を体現するモデルだ。オンロード・オフロードを問わず軽快な走行が楽しめ、特に山道やワインディングロードでは高いパフォーマンスを発揮する。スタイリッシュな外観と汎用性の高さが、多くのライダーを惹きつけている。
メテオ350：リラックスしたクルージングを楽しむ一台
ロイヤルエンフィールドのメテオ350は、クルーザーカテゴリーの中でも初心者に優しい設計が特徴だ。足を前に投げ出すリラックスしたポジションと、低重心設計による安定感が魅力である。街乗りやのんびりとしたクルージング、ロングツーリングに最適なモデルだ。
このように、それぞれのバイクは異なるカテゴリーに属し、ライダーに提供する体験も大きく異なる。それでは次に、それぞれの特徴を詳細に比較していこう。
G310GS・スクランブラー400X・メテオ350の詳細比較インプレッション
個性豊かで、普通二輪免許で乗ることができる海外メーカーのミドルクラスバイク、G310GS、スクランブラー400X、メテオ350の3台を比較した。それぞれの特徴を「ライディングポジション」「取り回し」「エンジンの反応とスロットルフィーリング」「公道での印象」「得意とするシチュエーション」の観点から見ていこう。
ライディングポジション
G310GS
G310GSはアドベンチャーバイクらしく高い視点が特徴である。アイポイントが高いこともあり、より遠くの路面や交通状況を把握しやすいのもポイント。自然なハンドル位置とゆったりとした姿勢が、長時間のライディングを快適にする設計となっている。
スクランブラー400X
スクランブラー400Xはオンロードとオフロードの両方を視野に入れたスポーティな設計で、ややアップライトなポジションが採用されている。オフロードの荒れた路面でタイヤが取られたとしてもバランスを取りやすいようハンドル幅は広く設定されている。小柄なライダーやオンロードモデルにしか乗ったことがないようなライダーにはネイキッドモデルのようなバーハンドルながら、よりワイドなポジションのため多少の慣れが必要かもしれない。オフロードバイクのシッティングポジションのように、シートの前方に座るよう意識すると腕も伸びきらずライディングしやすい。
メテオ350
メテオ350はクルーザー特有のリラックスしたポジションが特徴である。とはいえ、完全に足を前方に投げ出すようなフォワードコントロールのようなステップ位置ではなく、椅子に座った時の様な自然に足が前に出るミッドコントロールのステップ位置になっている。このため、様々な身長のライダーであっても極めて自然なライディングポジションを取ることができる。シートは広く座り心地も良好。広いシート幅のため足が左右に広がり、小柄なライダーの場合は足着きが多少悪くなってしまうが、低いシート高と低重心な設計で安心して乗れるようになっている。
取り回し
G310GS
G310GSは軽量で、取り回しがしやすいモデルである。高めのハンドル位置も影響し、押し引きしやすい。ただし、サスペンションが柔らかく車体を立てると沈み込むため、サイドスタンドをしまうときには車体を垂直に立てスタンドが路面に引っかからないようにすることが必要。
スクランブラー400X
G310GSに次いで軽量な車体とワイドなハンドルで、押し引きの操作は非常に楽である。一方で、シート高が高めであるため、小柄なライダーだと足着きに注意が必要な場合もある。
メテオ350
メテオ350は車重がやや重いものの、低重心設計のおかげで押し引きの負担が軽減され初心者にも扱いやすい。シート高の低さも安心感を高めてくれる。
エンジンの反応とスロットルフィーリング
G310GS
G310GSは中低速域でのトルクが厚く、どのような路面でも安定して走りやすい。スムーズかつ安定したスロットルフィーリングで、扱いやすくアドベンチャー用途に適している。小ぶりなウインドシールドだが、このおかげで高速道路も至極快適。400ccクラスのアドベンチャーバイクとあってコンパクトな作りなので、ダートを含めたロングツーリングに最適！ ビギナーでも扱いやすく、ベテランにとってもバイクに振り回されることなくライディングを楽しめることだろう。単気筒エンジンでも振動が少ないのも特筆すべきポイントだ。
スクランブラー400X
スクランブラー400Xは軽快なレスポンスが最大の魅力。スロットル操作に対しての反応もよく、ストップ＆ゴーの多い市街地からワインディングまでスポーティな走りを堪能できる。キビキビした走りをバイクに望んでいるのなら、スクランブラー400は最適。レトロな雰囲気のオフロードヘルメットを被り、バイクに合わせたファッションを楽しみたいという人にもオススメだ。
メテオ350
メテオ350のエンジンは低回転域でのエンジンフィーリングが良く、街乗りといった日常での速度域で楽しく走れる。必要にして十分なパワーで穏やかなエンジンフィーリングと、ロングシールド、タンデムシートに設けられたバックレストをスタンダードモデルで装備しているため、長距離ツーリングでも疲れは少ない。日常でも使える旅バイクを探している人には最適な選択だ。
Insta360 X4で撮影した走りもチェック！
バイクの走りを撮影するのに最適なInsta360X4。バイクの走りの撮影方法はこちらの記事を参考にしてほしい。
総評
海外メーカーの車両と言うことで、それぞれに際立つ特徴を如実に感じた今回の3台。G310GSは冒険心をくすぐるアドベンチャーバイクとして、多用途に使えるモデルである。スクランブラー400Xは軽快さとスポーティな走行を求めるアクティブなライダーに向いている。メテオ350はリラックスしたライディングを楽しみたいライダーに最適である。それぞれの特徴を理解し、自分のライディングスタイルに合った一台を選んでほしい。
