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2025年、原付はなぜ消えてしまうのか〜排ガス規制を振り返る〜

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

排ガス規制の強化で、2025年11月には「ガソリン原付一種(50cc未満)のメーカー生産が終了する」とメディアなどで公表されています。

本記事では、ガソリン原付一種が生産終了する理由や背景について、排ガス規制の歴史などから見たうえで、くわしく解説していきます。

目次

2024年夏、ホンダとスズキが50ccモデルの生産終了を発表

2024年8月に、ホンダとスズキが50ccクラスの原付ガソリン車の生産を継続しない方針を発表しました。

ヤマハは、すでに2016年に50ccクラスの原付一種の開発・生産から撤退しており、現行販売のヤマハ「ビーノ」・「ジョグ」についてはホンダのOEM生産モデルです。

2025年の新排ガス規制を受け、ヤマハはビーノ・ジョグ(50ccモデル)は廃止のうえ、新基準の125cc原付を市場投入する取り組みが明らかになっています。

50ccのバイクが新車市場から消えることになりますが、これは排ガス規制に対応できなくなったからであると言われています。

排ガス規制によって、過去多くのバイクが生産終了を余儀なくされた

これまでの排ガス規制でも、ホンダ・NSR250などの2ストバイクや昭和時代から続いてきたキャブ車のモデルなど、多くのバイクが生産打ち切りとなりました。

排ガス規制とは、CO:一酸化炭素・HC:炭化水素:NOx:窒素酸化物の測定値をクリアする義務があるルールのことを言います。

ここからは過去3度にわたる排ガス規制について、具体的な規制数値などを参考に説明します。

1998年排ガス規制の概要

1998年排ガス規制の規制値を表にまとめました。

規制対象ガス4サイクルエンジン2サイクルエンジン
CO値13.08.0
HC値2.003.00
NOx値0.300.10

ここの3つの項目はそれぞれ大気汚染の原因となる物質で、環境問題に配慮して規制が設けられることとなりました。

1998年排ガス規制では、多くの2ストロークエンジンのバイクが生産中止となりました。

1998年排ガス規制は、バイクの排出ガス規制のスタートであり、ガソリンとオイルの混合燃焼・未燃焼ガスが問題となりました。

ここで多くの2ストバイクが絶版モデルとなり、また基本設計が古い空冷4ストロークエンジンのバイクも数を減らしました。

2006年排ガス規制の概要

2006年排ガス規制は、1998年の3つの排ガス規制値からさらに70~80%削減を求める非常hに厳しい規制でした。

また排ガス測定方法も暖気モードから冷気モードに変わって条件が厳しくなり、カワサキ「ゼファー」ヤマハ「XJR400」などの往年のキャブレター・空冷エンジンモデルのバイクが生産中止となりました。

2006年排ガス規制を受け、メーカーは燃料供給をキャブレター式から燃料噴射装置(FI)式に変更する大幅なエンジン設計・排気システムの改良をおこない規制値をクリアした新しいバイクをリリースしました。

2016年排ガス規制の概要

2016年の排ガス規制はEU(ヨーロッパ共同体)の「ユーロ4」に準拠したもので、排ガス基準がさらに厳しくなりました。

2016年の排ガス規制値は、次の表のとおりです。

規制対象ガスクラス1クラス2クラス3
CO値1.141.141.14(2.62)
HC値0.300.200.17(0.27)
NOx値0.210.170.09(0.21)

2016年排ガス規制は、2012年の排ガス規制値のおおむね半分の規制値へ引き下げられました。

2016年排ガス規制の影響などでホンダ・モンキー、カワサキ・エストレアなど67モデルのバイクが生産終了を余儀なくされました。

ただし、2016年の排ガス規制に伴う各モデルの生産終了については、ガスの規制値ではなく、「OBD」と呼ばれる車載式故障診断装置の義務化が原因です。

まとめ

本記事では、原付バイクの生産終了とも密接に関係する、排ガス規制の歴史について、解説しました。

今回の排ガス規制に伴い、50ccの原付は生産終了してしまいますが、新基準原付が発売されるほか、いま市場に出回っている原付バイク(50cc未満)は引き続き走行、中古販売が可能です。

原付バイクは、手軽な移動手段として、老若男女問わずあらゆる生活シーンで便利な乗り物ですので、好みや用途にしたがって最適な原付を見つけていきましょう。

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