車中泊は、思い立った瞬間にどこへでも行ける自由な旅。
ホテルや宿の予約に縛られず、自分だけの時間と空間を手に入れることができる。
日々の喧噪から離れたプライベートな時間で、趣味に没頭したり、自然の中でデジタルデトックスをするもよし。
愛車とともに車中泊で日常を超える体験を、今始めよう!
Text:谷田貝洋暁
Photo:関野温
車中泊は寝床の確保が重要!
流行りのオートキャンプを始めてみたけど、1泊2日の行程ではテントやタープの設営や撤収に時間をとられ、帰宅後はアイテムの片付けがとにかく面倒くさい……。そんなアナタにおすすめしたいのがクルマを寝床にする車中泊だ。
寝るのはクルマだからテントを設営する手間がなく、荷物もコンパクトに減らせる。また車中泊なら行き先がキャンプ場だけに絞られることもないし、急な天候変化にも臨機応変に対応可能。
それにもし一人旅なら、施錠してプライバシーを確保できる空間があると大きな安心材料になる。オートキャンプよりも遥かに自由で、いろいろな旅を手軽に楽しめてしまうのが車中泊というわけだ。
車中泊を行ううえで最も重要となるのは寝床の確保。車内に横になってしっかり足を伸ばせるスペースを作り出すことだ。“運転席を後にずらしてリクライニングさせれば……”なんて安易に考えてしまいがちだが、これはやってみると状況は最悪。仮眠レベルで寝られはするが、我慢して寝たところで“ツラくない”だけで“楽しく”はなく、体力も回復しにくい。
車中泊を始めるうえで、もしこれから愛車を選ぶという場合は、“足をしっかり伸ばして寝られるフラットなスペースの確保”を第一に考えると、車中泊ライフが格段に快適なものになる。
車中泊の達人に学ぶ、最高の旅の楽しみ方!
車中泊を楽しむ人が増える中、今回はその道のプロとも言える2人の達人にフォーカス! 仕事からプライベートまで、愛車を相棒として各地を駆け巡る彼らは、車中泊の醍醐味を知り尽くしたスペシャリストなのだ。車中泊をどのように楽しんでいるのか、彼らの実践的なアドバイスと共にその魅力に迫る。
Nバンのフラットスペースが仕事場に遊びに大活躍!〜谷田貝さんの場合〜
HONDA N-VAN
バイク系媒体のライターをしている谷田貝さんの場合、まず第一に“バイクを積んで運べること”が愛車選びの大前提となった。しかも、レース参戦やイベント取材など、レクリエーションとしての車中泊だけでなく、仕事の都合で車中泊することも多いことから、出先でパソコン作業ができる移動事務所としての機能も欲しかった。
相棒に選んだのはホンダのNバン。群を抜く積載s性とバイクの積みやすさで選んだが、思いのほか車中泊が楽しかった。車体左側のドアを全開放しフルフラットにすると、谷田貝さんが“縁側”と呼ぶスペースが出現。この“縁側”がくつろぎの場所であり、寝床となるわけだ。
「僕にとって、Nバンはサンダーバード2号です。バイクはもちろんですが、カヌーに自転車、キャンプ道具とその時の遊びに応じて中身が変わる。しかも、車中泊も快適なのだから言うことなしです」。
「N-VANはサンダーバード2号 色んな遊びを運びます!」
【ココがPoint!】
ブルーティの防水ポタ電
AC60で快適アウトドア!
旅先では火を使いにくい場所も多い。「電気ケトルでお湯を沸かせれば食事ができるし、仕事で使うパソコンやカメラの充電がしたかった。ブルーティAC60は防水防塵で荒っぽい使い方も問題なしなので重宝してます。最近、ソーラーパネルも買い足しました」
手間暇かけて仕上げた 愛車と過ごす濃密な時間〜朝日さんの場合〜
TOYOTA ランドクルーザープラド (78プラド)
クラシックスタイルのクルマが好みという朝日さんの愛車は1995年式のトヨタ ランドクルーザープラド。さらなるクラシカルテイストを求めてボディをアンビルグレーに全塗装し、リヤバンパーとゲートステップは自らチッピング塗装。外装パーツも「DEANホイール」や純正流用「ランクル70バンパー」をチョイスして、軍用車風のタフな雰囲気にまとめ上げている。
「やっと乗りたいクルマが見つかった感じです。30年も前の車両ですが、気に入りすぎて他に乗りたいクルマが見つからないんですよ」と、相当愛車に入れ込んでいる様子。
そんな朝日さんの車中泊スタイルはランクルから延長した低めのタープとロースタイルのチェアを組み合わせた居心地のいい空間。家族や仲間とフィールドに出ることが多いらしいが、大好きな愛車の傍で過ごすゆったりとした時間は何ものにも代え難い。
『低めの視線が愛車を愛でる特等席!』
アシストグリップのネジ穴にアイボルトを装着。アイボルトの穴にちょうどいい径のパイプを通して固定し、そこに100均で購入したメッシュパネルで棚を組んでいる。「ちょっと天井は低くなりますが、すぐに取り出したいものを収納しておくのに便利です」
【ココがPoint!】
DIYで作成したベッドは
リーズナブルながら快適
車種専用のフルラットキットも売られているが、高かったのでホームセンターで売っているイレクターパイプをカットし組みあげ、コンパネを置いて後部座席と合わせたフラットな寝床のスペースを作り出した。原価2万円弱と専用品の4分の1の価格。