幼少期を振り返って……皆様、プラ板ってご存知でしょうか?
今を遡ること35年くらい前、私が小学生だった当時、東京調布市では瞬間風速的に「プラ板」が流行りました。
プラ板とは薄い透明のプラスチックの板を週刊少年ジャンプの表紙とかに載せて、油性マジックでキン肉マンとか北斗の拳とかの絵をなぞって絵柄を作成し、それをトースターで焼くと縮んで分厚くなってキーホルダーとかにできる遊びです。
まあ、昭和の小学生らしい牧歌的なものです。ファミコンとビックリマンとキン肉マンの日々の中の一時的ブームでありました。
時は流れて35年後、ふと立ち寄った100円ショップでそのプラ板と懐かしの再会を果たしたわけです。しかも35年変わり映えしない私とは違って、今どきのプラ板はインクジェットプリンターで印刷できてしまうそうなのです。
子供のためにキーホルダーを自作してみた
丁度その頃、娘が保育園の遠足にいくためにデイパックを買ったばかりだったので、ひとつ試しにおニューのデイパックにつけるキーホルダーを作ってあげることにしたんです。
娘から「ピンクのうさちゃんにして!ヒゲは描かないで!」と無精ヒゲ面の私は強めに指示を受けたので、所望する品をこしらえました。
完成した品は、35年前の手描きよりは出来がよいかもしれないですが、外形が歪んでいたりすることもあり、まあ、ハンドメイドテイストが色濃く感じられる仕上がりだったのですが、娘が喜んでくれたので、これに私も気を良くしたわけです。
調子に乗ってきたので愛車用も作ってみることに
そこで、ひとつ自分の愛車のキーホルダーも自作してみようかと思い立ったのです。
今はほぼ無職な私ですが、こう見えて一応美大出身でDTPデザイナーをしていた時期もありました。昔とった杵柄とばかりにひとつクールでかっちょいいのを作ってみることにしたのです。
Adobeイラストレーターを駆使しつつ、愛車であるVMAXの車名を入れたデザインを練りだしたわけですが、ただ“かっこいいもの”というコンセプトはつまりノーコンセプトなわけで、製作は難航するわけです。
んで、やっぱりふざけちゃうんですね。
ふざけだすとアイデアが湧いてきましたが、格好の良いものは私には作れませんでした。
完成したデザインは4パターン
ひとつはノーマル無難バージョン
背景にレザーを敷いて、プラ板でありながら革のテイストをプラスしてみました。まあ、ありがちなんで、わざわざ自分で作らなくても既製品でありそうな感じです。
続きまして、アメコミテイストで作ってみました
VMAXはアメリカ市場をターゲットに見据えて開発されたわけで、そんな背景を想起させつつ、マーベル映画も流行ってますし。「アメコミ風の吹き出しの作り方」ってググって、そのまんま作りました。けっこう悪くない気がします。
日本中がキラキラしていた80年代風作ってみました
76年生まれの私が幼少期を過ごした80年代はバブル景気を追い風に日本中に浮かれムードが漂っていたものです。原宿竹下通りとか、軽井沢とか、清里とかには、おちゃらけたタレントショップやファンシーグッズの店が並び、パステルカラーのファッションや雑貨が流行ったものでした。
そんなファンシーなテイストでVMAXのキーホルダーをデザインしてみたのです。
硬派でワイルドなイメージのVMAXとは対極にある甘ったるいビジュアルで、二郎系ラーメンにガムシロップかけたみたいなギャップに吐き気を催すことができます。
昭和スナックテイストで作ってみました
今、平成生まれの若者たちの間で「昭和=エモい」として昭和カルチャーが流行しているそうです。
自分がリアルで体験してきた昭和時代のあれこれに対し“エモい”という安易なタグを付けて、何でもかんでもスマホの中で消費されていくのはオジサン的に抵抗があったりするのですが、私が知っている昭和もすでに自分の記憶の中で良いように改竄されているような気がしなくも無く、そう考えると同じ穴の狢なのかもしれません。
今、おじさんが昭和体験したいもので思いつくのはスナックです。東北のさびれた港町に旅して、現地のスナックとかに単身ふらっと立ち寄ったりできるのって何歳からなんですかね?
45歳の完全仕上がったおじさんですが、まだ一人で見知らぬ街のスナックにふらりと立ち寄れる度胸はありません。
そんな気持ちを込めてスナックのマッチテイストでデザインにしてみました。
私は無職の身分で何に心血を注いでいるのかわかりませんが、無為なことに4パターンもデザインを作ってしまったのです。まったくもって意味不明です。
プリンターで印刷できる百均プラ板はハガキサイズ。
プラ板は焼くと1/5に縮んでしまうので、ハガキサイズをいっぱいに使ってデザインしました。
焼くと小さくなって色が濃くなる
プラ板に印刷した絵柄が1/5になると、色が凝縮されてかなり濃くなってしまいます。そこで、絵柄を透明50パーセントにして色を薄くしてみました。ただ、透明にすると色の鮮やかさが失われるようで、ここは難しいところです。
さっそく完成した絵柄をプリントアウトしてみます。
用紙設定をインクジェット用郵便はがきにして出力しましたが、印刷自体はうまくいきました。
少しインクが乾くまで待って、パンチで穴を開け、ハサミで四隅を丸く切ってからトースターで焼きます。
インクジェット用プラ板の説明書きにはくしゃくしゃに皺を入れたアルミホイルを下に敷くとあったので、その通りにします、
温度は適当に合わせて
時間も適当で窓からプラ板の様子を見ながら焼きます。
窓から様子を伺っていると
いったん苦しそうにくしゃくしゃになりつつ縮んで
冗談みたいに小さく縮むと
やがて生まれ変わったように、また平べったく伸びます。
そこを見計らって割りばしで取り出します。が、アルミホイルにくっついてなかなか剥がれないので少し大変です。ここで変形して失敗してしまうことが多いのでした。
あつあつ状態のまだ柔らかいプラ板を平らなものに挟んでまっすぐ成形します。
すぐに冷えて硬化します。
4つのデザイン分焼き上がりましたが、どれもきれいにはいきませんでした……。
発色もいまいち。
鮮やかな発色を目指すために透明のUVレジンでコーテングしてみた
ちょっとこのままでは残念なクオリティなので、仕上げに紫外線で硬化する「UVレジン液」で表面をコーティングしてみることに。UVレジン液は私も初めて使いますが、ようは紫外線硬化樹脂なので、普段は液状ですが紫外線に当てると硬化します。
バイクのペイントも色の上には仕上げのクリアペイントを施して艶を出すので、クリアのUVレジン液を塗っても同じ効果が得られるのではないかと試してみることにします。ちなみにUVレジンも百均で手に入ります。少ないので割高感がありますが。
表面にUVレジンを垂らして、爪楊枝に平らに均していきます。
適宜盛り付けができたら
屋外に出して太陽光に晒します。ちなみにUVライトがあれば室内で硬化させることもできます。
10分くらいで硬化してしました。
これで水濡れなどからプリント面を保護することができるし、見た目も良くなるし、結果良かった気がします。
仕上げにキーホルダー化します
やはり百均で購入した丸カンを使って、
キーホルダー化しました。
私の愛車であるVMAXの初期型は1985年発売なので、やはり80年代風キーホルダーを採用してみました。
鍵とキーホルダーをつなぐのはパラコードです。これも80年代風ファンシーカラーを使うとさらに良いかと思いました。そうすればもっと、あの80年代にタイムスリップできるような気がします。
ちなみに昭和スナックバージョンは我が家の電動自転車ヤマハ「PAS」の鍵に付けてみました。ブイマックスじゃないけど。子乗せ自転車らしからぬいかがわしさがポイントです。「ヤマハ パス」で再制作しようかしら……。
昭和のホテルのルームキー風キーホルダーもできるかも……
UVレジンというものを覚えたので、今度は昭和の旅館とかホテルのルームキーに付いていたクリアの棒状のキーホルダーも自作できるかも!?
という、良い年した中年男性が働きもせず、昼間から実のない創作活動に勤しんだ顛末をお知らせいたしました。暇なお正月休みにやること無くてどうしようも無くなったら、ご自身で時空の歪むオリジナルキーホルダーを作ってみてはいかがでしょうか?