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ほぼ日帰りで南の島を堪能できる! 三宅島、絶景ジオスポットツーリング

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

オンロードもオフロードも、ツーリング勢のみなさん、コンニチハ。最近ツーリングの行き先がマンネリ化していたりしませんか? 遠出はまとまった休みがないと難しいし、お金もかかりますよね。そんなあなたに、特に関東勢の方にオススメなのが、伊豆七島ツーリングです! 今回はその中でもオフロードバイクに縁の深い三宅島にスポットを宛てて、絶景を巡るツーリングを提案しちゃいます!

目次

東京都の「南の島」は、ジオスポット天国

今回はバイク歴15年、うちオフロードバイク歴10年のおじさんライダー・伊井が、現役女子大生の伊澤さんを離島まで連れ回しちゃいました。なんと、彼女はモトクロスライダーで全日本選手権にも出たことがあるのですが、公道をバイクで走るのは初めてなんですって。公道デビューを三宅島で経験できるなんて、そんなラッキーありますか⁉︎

今回紹介する三宅島はイラストで表すとこんな感じ。バイクだと一周約1時間で回れてしまう小さな島で、ダイビングやサーフィンといったマリンスポーツをしに訪れる人も多いです。また、他の伊豆七島と同じく釣りのメッカとしても知られており、土日などはバイクを積むためのコンテナがクーラーボックスで満載になっちゃうらしいですよ。

1940年、1962年、1983年、2000年と、ここ100年の間に4回も大きな噴火に見舞われている三宅島は、至る所に噴火の傷跡が残されていて、大自然の脅威を秘めているのですが、だからこそ、バイク乗りなら誰しもが興奮せずにはいられないようなツーリングスポットがたくさんあるんです。

三宅島への行き方などは後で詳しく説明するとして、さっそくツーリングに出発です‼︎

溶岩を堰き止めた⁉︎ 阿古小中学校

実は三宅島にはフェリーが着く港がいくつかあって、その時の天候によってどこの港に着くかわからないんです。今回到着したのは錆ヶ浜港。お土産屋さんとか、港の建物とか、ここが一番大きな港と言えると思います。三池港や伊ヶ谷港だと、周りに何もなくてちょっと大変かも。

となれば、最初の目的地はあそこで決まりですね!

はい、ここは「阿古小中学校跡」です。錆ヶ浜港から北にほんの5分程度で到着します。名前の通り、ここはかつて三宅島西部に位置する阿古地区の子供たちが通う小中学校でした。しかし、1983年の噴火の際に阿古集落を襲った溶岩流が、三階建ての校舎の二階までを埋め尽くしてしまい、こんな姿に。

溶岩の中を縫って歩ける遊歩道が整備されていて、こんな間近でその被害の大きさを見ることができます。ただしもちろん、この溶岩の中は立ち入り禁止ですし、持ち帰ったりも一切できませんので注意してくださいね。

窓から校舎の中の様子を見ることができるのですが、散らかり放題で、ほとんど人の手が入っていないことが分かります。

三宅島の観光地の多くがそうなのですが、駐車場は舗装されておらず、遊歩道の周りを埋め尽くす溶岩石と同じような砂利系。なのですが、もちろんここで遊んじゃいけません。例えばカブじゃなくて、250ccのスポーツバイクとかでこの駐車場に入ったら、ちょっと不安になるレベルです。カブでよかった〜。

と、ここでお腹が空きました。フェリーの出航待ちにご飯を食べるつもりが、コロナ禍でお店がやってなくてコンビニで済ませたし、船内でカップ麺を食べたとはいえ、もう朝5時を過ぎています。つまり朝ごはん食べなきゃ!

三宅島には朝ごはんを食べられるお店は基本的にありません。普段の僕の主食である牛丼屋チェーンもハンバーガー屋さんもありませんから。でも大丈夫。そんな時の強い味方がこの「ホテル海楽」さん。宿泊客用の朝食バイキングを朝5時30分からやっており、宿泊客以外でも食べることができます。とはいえ南の島ですから、毎日必ず食べられるというわけではないと思いますので、行く時は電話で予約していくことをオススメしますっ!

「ホテル海楽」さんの場所は錆ヶ浜港の目の前なので、フェリーで島に着いた直後に美味しい朝ごはんをいただくことができるんです。本当にありがたいですね。

メニューはこんな感じ。THE・日本の朝ごはん。素朴な島の味が沁みます。値段は1人900円。この日は他に林業関係者と思われる宿泊客がたくさんいらっしゃいました。

現役JDも写真を撮っていました。映えましたか?

エンデューロレースに思いを馳せる七島展望台

海楽さんを後にして次に目指すのは島の中心部にある「七島展望台」。

三宅島の外周を海に沿ってぐるりと一周している三宅一周道路から外れて、島の中心へ上がっていくと、「七島展望台」があります。ここはまさに三宅島復興のために東京都が援助して毎年開催している三宅島エンデューロレースの会場そのもので、この駐車場は開会式が行われる場所なんです。

2017年〜2019年まで3回このレースに出場している(2016年は取材、2020年は開催中止)僕ですが、人がいないこの場所は初めてなので、ちょっとした寂しさを感じながら、後ろに見えてる山へ登ります。頂上まで舗装路が続いていて、バイクや車で登ることができます。逆に言うと、舗装路以外の場所はバイクも人も立ち入り禁止なのでご注意ください。

頂上にはこんな小さな展望台が作られています。レースの時はいつもめちゃくちゃ風が強くて、軽量なレース用車両だと真っ直ぐに走れないくらいだったのですが、この日は天気がよくて風も穏やかで最高に気持ちよかったです。

展望台から見えるこの広大なフィールドのほとんどが、レースで使われます。さらに舗装路を経由して、上の写真だと左奥にあたる、溶岩のゴロゴロしたウッズ区間も使われ、およそ日本とは思えないようなシチュエーションの中をバイクで走ることができるんです。もちろん、レースの時以外は一切立ち入り禁止!

島の中心に聳える雄山をバックに走るのも、ド迫力。海の青と空の青、そして山の緑だけの世界。大人の夏休み、満喫中です!

異世界に迷い込んだかのような新鼻新山

三宅一周道路沿いに位置する観光名所の一つに「新澪池跡」というのがあります。これは名前の通り池の跡で、かつて火口湖だったところが溶岩流に飲まれて水蒸気爆発を起こして干上がったというもの。その凄まじさは感じることができますが、今ここから見えるものはただの窪地。これではあんまりありがたみがないですよね。

それでもここに寄ったのは、道の反対側にもう一つ目的があるからなんです。

新澪池跡の駐車場の道の反対側、ガードレールがわずかに切れている隙間から、細い林道が伸びています。そこに歩いて入っていくと、こんなト◯ロっぽいトンネルを抜けて海岸に出ることができます。

すると目の前にはこんな世界が。

これが「新鼻新山」。三宅島の中では一番インパクトのあるジオスポットと言って良いでしょう。「山」と名前がついているのですが、普通の山とはちょっと違います。そうです、ここの地面は全て火山からの噴出物なんです。青い空と青い海がなければ、まるで月や火星とも見違えるようなこの光景は、紛れもなく東京都内のものなんですよ。

足元の砂のようなものは「スコリア」(塊状で多孔質の火山噴出物)と呼ばれています。1983年の噴火の際に火口から噴出した岩石や火山灰が積もってできたこの丘は、三宅島エンデューロレースで使われる七島展望台付近と同じ、このスコリアの感触を足で楽しむことができます。

歩いて崖の先端まで行くこともできますが、観光協会の方に聞いたら「けっこう崩れたりもしますので、危ないのでオススメしません」と言われました。帰ってから確認したら、僕が最後にここを訪れた2018年と比べると、かなり崖の形が違っていました……。

ちなみに崖の下はこんな感じになっています。落ちたら間違いなく命はありませんね……。

超快適な三宅一周道路
信号が3つしかない島!?

ここで三宅一周道路を紹介。正式には東京都道212号線。島の海沿いをぐるりと一周している綺麗に舗装された道路で、全長は約30km。車やバイクなら1時間もあれば一周できちゃいます。こんな南国のような道もあればちょっと峠っぽいくねくねした道もあります。

山を抜けて海が見えた瞬間はついついガッツポーズしたくなるほどの開放感。まさに絶景というやつですね。海と空のグラデーションがたまりません。

と、ここで信号に引っ掛かりました。実はツーリングを始めて4時間ほど経過しますが、これが初めての信号。つまり伊澤さんにとっては人生初のバイクでの信号待ち。

三宅島には信号機が3つしかないんです。確か僕が初めて三宅島にきた2016年にはバスガイドさんが「1つしかない」って言ってたはずなので。それも必要に迫られて設置したというよりは、成長して島をでた子供たちが本土で信号機の見方がわからないと危ないから、という理由からだったと記憶しています。

ちなみにこのあと、工事中の片側交互通行のための信号機があったのですが、伊澤さんは「2個目の信号ありましたね!」と喜んでいました。ごめんね……それ常設のやつじゃなくて臨時のやつだから3つにカウントされないんです……。

と、ここで伊澤さんに初めてバイクで公道を走った感想を聞いてみましょう。

「中型免許を取ってから5年以上経って、初めての公道でした。乗る前は緊張していましたが、いざ乗ってみるととても気持ちよくて。天気に恵まれ、快晴&猛暑の中を走ったのですが、走っていて感じる風は涼しく、見える空や海がとても綺麗で、走りながら「気持ちいい〜!」と思わず声に出してしまいました。三宅島は交通量が少ない分、心に余裕を持って乗れたことも大きいかなと思います!」とドキドキの初公道だった伊澤さんも、すっかりリラックスして楽しんでもらえた様子。さすが三宅島。

サタドー岬、ひょうたん山、椎取神社
北東部に固まる観光名所

気持ちよく三宅一周道路を走っていると、南東部の三池地区では空港を横目に眺めながら走ることができます。そこからさらに北上していくと、北東部には観光名所が集中しているんです。

まずはこちらが、「サタドー岬」。三宅一周道路から20mの高さの断崖絶壁が見られます。この絶壁も噴火時の溶岩流から形成されていて、「サタドー」はヒンドゥー語の「地獄」を意味する言葉から来ているという説もあるのだそうです。名前だけで恐ろしい感じ、しますよね。ところでなんでヒンドゥー?

そこから先にくねくねした海沿いの気持ちいい道をツーリングしていくと、右手の駐車場が見えてきます。

この駐車場では「三七山」と「ひょうたん山」をダブルで楽しめます。観光ツアーとかでもまぁ、基本セットです。だってお隣だから。まずこの「三七山」は1962年に起きた割れ目噴火で、噴石が積み重なってできた噴石丘で、昭和37年にできたことから「三七山」と名付けられたそうです。そんな5月生まれの娘に「さつき」ってつけるくらいのセンスで……。

そして「三七山」の正面にある駐車場から海側を見るとあるのが、「ひょうたん山」。1940年の噴火で誕生したクレーターのような形をしたこの「ひょうたん山」は、火山の火口そのもの。現在のサイズは直径100m、深さ30mほどあり、この三七山展望台からその火口を見下ろすことができるんです。

さらにちょっと北上すると、今度は左手、海側じゃなくて山側に神社があります。気をつけていないと見逃してしまうほど、小さくて自己主張のないところなので、注意。

一見、普通の神社に見える「椎取神社」。しかしよく見ると、神社の後ろには葉が全くない、おどろおどろしい木々がたくさん。

これは火山ガスの影響で枯れてしまったと言われています。そして実はこの鳥居と社殿は、2000年の噴火の後に再建された新しいもの。

こちらが「椎取神社」のメイン。現在の神社が建っている敷地のお隣には、噴火の影響で埋まってしまった古い鳥居と、かつての本殿の屋根が、てっぺんだけ顔を出している衝撃の姿を見ることができます。降り積もった火山灰が雨によって泥流となり、この神社を地中深く埋めてしまったとのこと。

とまぁ、こんな感じで三宅島の定番観光コースをバイクで回ってみました。他にもボルダリング体験やイルカウォッチング、釣り、ダイビング、アカコッコ館など様々な楽しみ方ができる島だし、民宿のお料理も美味しいので、できれば2泊ほどのスケジュールでゆっくり滞在してもらいたいところなのですが、少ない休みでも絶景ツーリングが楽しめるよ、というのが今回の企画の趣旨なので、僕らももう帰りの船へ急ぎます〜。

text&photo RIDE-HUCK

RIDE-HUCK掲載日:2021年8月17日

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