トヨタ自動車株式会社は、TOYOTA GAZOO RacingのGR010 HYBRID 7号車が「2024年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)第4戦」となる「第92回ル・マン24時間レース」にて2位表彰台を獲得したと発表した。
WECのディフェンディングチャンピオンである同チームは、ル・マンの頂点を目指したが、厳しい結果に終わった予選や、悪天候に見舞われた決勝レースなど様々な試練に直面した。だがドライバーのスキルや効率的なピットストップと着実なレース戦略、そして力強いチームスピリットを駆使して、クラス最後尾となる23番手スタートから見事な追い上げを見せ、24時間、311周の死闘の末に、僅か14.221秒差の2位フィニッシュとなった。
TOYOTA GAZOO Racing、GR010 HYBRID 7号車がクラス最後尾の23番手から僅差の2位表彰台獲得!8号車も5位でフィニッシュ
フランス現地時刻の6月16日(日)、2024年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)第4戦となる第92回ル・マン24時間レースがフィニッシュを迎えました。TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGR010 HYBRID 7号車がクラス最後尾から追い上げ、最後まで首位を争い2位表彰台を獲得。8号車は5位フィニッシュを果たしました。
WECのディフェンディングチャンピオンであるTGRは、ル・マンの頂点を目指しましたが、厳しい結果に終わった予選や、悪天候に見舞われた決勝レースなど様々な試練に直面しながらも、ドライバーのスキル、効率的なピットストップと着実なレース戦略、そして力強いチームスピリットを駆使して乗り越えながら、23台のハイパーカーによる激戦に挑みました。
小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペス、ニック・デ・フリースのGR010 HYBRID 7号車は勝利を目指し最後まで果敢に戦いましたが、惜しくも勝利には手が届きませんでした。クラス最後尾となる23番手スタートから見事な追い上げを見せ、24時間、311周の死闘の末に、僅か14.221秒差の2位フィニッシュとなりました。
セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車はレースの大半をリードしましたが、残り2時間というところで他車との接触によるスピンを喫し、勝利のチャンスを逃すこととなりました。それでも諦めることなく最後まで戦い続けた8号車は5位フィニッシュを果たしました。
30万人を超える大観衆が見守る中、2台のGR010 HYBRIDはハイパーカークラスの後方グリッドからのスタートとなりましたが、めまぐるしく変わる天候をものともせぬファイティングスピリットを披露し、順位を上げていきました。
スタートから2時間、そして6時間経過時に降雨に見舞われる中、8号車は表彰台争いまで浮上し、7号車もトップ6を狙える位置まで大きく順位を上げました。その後、6時間半を経過したところでセーフティカーが導入されたことで、レースが大きく動きました。
日没を迎えて夜間走行に入り、加えて雨が降り始めたことで、1時間以上にわたるセーフティカーランが続き、各車間のタイムマージンはなくなりました。レースが再開されると、ドライバーたちは難コンディションの中で持てるスキルの全てを尽くしてのバトルを繰り広げ、2台のGR010 HYBRIDはトップ争いに加わりました。
8号車は9時間目から18時間目まで、雨の中で平川が素晴らしいパフォーマンスを見せ、ピットストップのタイミング以外の大半でレースをリードし、トップを走行。7号車も3位と好位置で上位争いを繰り広げました。レースが折り返しを迎えた夜間走行時間帯には、激しい雨により4時間以上にわたるセーフティカー導入もありました。
キャデラック、フェラーリ、ポルシェとTGRの4マニュファクチャラーによる接戦が続き、コース上のトラフィック(周回遅れ車両の追い越し)やスローゾーンのタイミングなどにより順位が入れ替わりました。19時間目に出されたセーフティカーのあと、再スタート時にはトップ7台がわずか4秒の中に入る接戦となり、レース終盤まで激戦は続きました。
レースが残り3時間を切っても、激しい首位争いは続きました。8号車を駆るハートレーはハイペースで周回を重ね、首位を行くフェラーリ50号車を猛追。残り2時間15分ほどで強い雨が降り始め、ほとんどの車両が一斉にピットインし、ウェットタイヤへと交換し更なるバトルが繰り広げられる中、残り2時間というところで8号車のハートレーはフェラーリ51号車にミュルサンヌ・コーナーで接触されてスピン。6位へと無念のポジションダウンを余儀なくされました。
7号車は2度にわたるパンクで大きくタイムを失いながらも、終盤圧倒的なハイペースでの追い上げを見せたロペスに、チームは勝利の望みを託しました。3位を走行していたロペスは、フェラーリ51号車をパスし、2位へと浮上。残り2時間で一旦はトップに立ちました。
しかし、7号車はゴールまでにもう1回の給油のためのピットインが必要でした。その最後のピットインを終えた時点から、レース終了までのおよそ30分間は、ぎりぎりの残り燃料で首位を逃げるフェラーリ50号車と、それを猛追する7号車のバトルになりました。7号車のロペスは、当初40秒あった首位フェラーリ50号車との差をじりじりと詰めていきましたが、惜しくも逆転には至らず。フェラーリ50号車に次ぐ2位でチェッカーを受け、8号車はブエミが最後のステアリングを握り、5位でフィニッシュしました。
豊田章男(TOYOTA GAZOO Racingチームオーナー):
今年のル・マンはレースが始まる前から、そしてスタート後もずっとなにかが起きていました。
しかし一度も不安に感じることはありませんでした。
なぜなら可夢偉のチームだから…。
可夢偉がつくってきたチームを心から信じていたから…。
24時間、最後の最後まで極限の戦いをチームのみんなは戦い続けてくれました。
素晴らしいレースでしたが、結果は本当に悔しい!
「世界一のメカニックたち、世界一のエンジニアたち、世界一のドライバーたち」と、レース前に私からみんなに語りかけたけど、この悔しさをパワーに変えて、世界中からも、そう呼んでもらえるようなチームをもう一度目指していこう!
可夢偉代表よろしく頼みます!
追伸1
ホセがいてくれてよかった!
ありがとう!引き続きレクサスもよろしく。
マイク、戻ってくるのを待ってるよ。
四輪に乗ってる君の方が僕は好きだから。
そして可夢偉、予選はちゃんと完走しよう!
最後に7号車のメカニックたち。
残業ばかりのレースウィーク本当におつかれさま。
やんちゃなドライバーばかりの7号車が僕は大好きです。
大変なことは多いけど、引き続き7号車をよろしく頼みます。
今日は、ゆっくり休んでください!
追伸2
アスリート同士が戦う本当に素晴らしい24時間レースでした。フェラーリの皆さんおめでとうございます!
最後の最後まで本気で戦ってくれたポルシェ、キャデラックの皆さんも、ありがとうございました。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
我々にとって非常に厳しいレースでした。勝てそうでしたが、幾つかのトラブルで叶いませんでした。我々の7号車にとって順調な24時間ではありませんでしたが、チーム全員が、この大変だった一週間を通して、素晴らしい仕事をしてくれました。全てのマニュファクチャラーが、24時間ずっと最後まで戦い続ける、信じられないようなレースでした。全てのチームが望む勝利に、我々はあと一歩のところまで近付きました。こんな接戦での今日の結果に、来年こそはもっと強くなって帰って来るという意欲が沸いてきましたし、そのために全力を尽くします。ハードワークと応援で支えてくれた日本とドイツのTGRの皆さまに感謝します。また、モリゾウさんにも改めて感謝します。モリゾウさんはマイクの骨折が明らかになってからも、また、レースウィークを通して大変なサポートを頂きました。我々はモリゾウさんと、TOYOTA GAZOO Racingとして共に戦いました。そして、来年はさらに強くなって戻って来ます。
ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー):
私を信頼してこのチャンスを与えてくれて、ハードワークで支えてくれた日本やドイツ・ケルンのチームスタッフ全員に感謝します。素晴らしい仕事をしてくれた可夢偉とニック、そして、メカニックにも感謝しています。僅か10日前に、マイク(コンウェイ)が負傷し、私がその代役を任されることになって以来、私の気持ちはジェットコースターのように揺れ動きました。この場で戦うことは嬉しかったのですが、彼にとっては残念なことです。そして、最後尾からスタートしたレースは天候に翻弄され、スローゾーンやパンク、その他のトラブルなどでタイムを失ったこともあり、私がこれまでに経験してきた中で最も過酷なレースでした。そのたびになんとか復帰し、力強いスピリットを証明してきました。この結果を成し遂げた全員を誇りに思います。ル・マンの総合優勝を争えるチャンスはそうあるものではないので、今日は忘れられない一日になるでしょう。
ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):
まず可夢偉とホセ、そして休みなく働き続け、この本当に難しいル・マン24時間レースで素晴らしい努力をしてくれたチーム全員に感謝したいです。こんなに難しいコンディションで、こんなに接近戦になるとは、信じられないようなレースでした。あと一歩の所までいきながら、届かなかった目標は本当に遠く感じます。それでも、チームの皆の力強いパフォーマンスのおかげで、TOYOTA GAZOO Racingのレースドライバーとして初めて参加したル・マンで表彰台に上ることができ、特別な瞬間になりました。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
正直なところ、5位という結果は少し残念です。我々は長時間にわたって首位を走っていましたし、終盤のアクシデントがなかったら勝てていたと思います。我々のペースは良く、ミスも無かっただけに、この結果はとても悔しいです。チームは素晴らしい仕事をしてくれましたし、エンジニアも的確な戦略判断をしてくれました。ブレンドンと亮の走りも素晴らしく、我々のパフォーマンスはとても良かったと思います。今は次戦ブラジルへ向け気持ちを切り替えて頑張るだけです。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
ファンの皆様にとっては最高のレースでしたが、この結末は本当に悔しいです。我々はレースの大半で勝利を争える位置にいましたが、セーフティカー導入時に幾つかポジションを下げ、その後再び2位まで巻き返して首位を狙いましたが、接触されてしまいました。その結果、レースの残り数時間というところで勝利の権利を失ってしまいました。掴みかけていた勝利が逃げていってしまった感じでした。チーム全員での努力の結果として、1台が表彰台に上がれたことは嬉しいですが、あと少しだったのに、という悔しさもあります。この悔しさを忘れるには、数日かかりそうです。
平川亮(8号車 ドライバー):
何と言っていいかわかりません。この難しいコンディションの中で、我々はチーム一丸となって全力を尽くしました。レースウィーク中はずっと頑張ってきましたし、昨年の雪辱を果たしたかったです。チャンスはありましたが、運がありませんでした。特に長時間にわたってレースをリードし、本当に必死で頑張ってきただけに、悔しいです。我々は強くなくてはなりません。残りのシーズンへ向けて気持ちを切り替え、巻き返しを図るべく、より強くなって戻って来ます。
WEC第4戦 ル・マン24時間 決勝結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | 周回 | トップとの差 |
1 | 50 | アントニオ・フオコ ミゲル・モリーナ ニクラス・ニールセン | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 311 | |
2 | 7 | 小林可夢偉 ホセ・マリア・ロペス ニック・デ・フリース | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 311 | 14.221 |
3 | 51 | アレッサンドロ・ピエール・グイディ ジェームス・カラド アントニオ・ジョビナッツィ | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 311 | 36.730 |
4 | 6 | ケビン・エストレ アンドレ・ロッテラー ローレンス・バンスール | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ ポルシェ 963 | 311 | 37.897 |
5 | 8 | セバスチャン・ブエミ ブレンドン・ハートレー 平川亮 | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 311 | 1:02.824 |
リリース提供元:トヨタ自動車株式会社