カワサキには「漢カワサキ」、「ビッグバイクのカワサキ」、「伝説のカワサキ」など、さまざまな称号があります。武骨なデザインや、鉄の塊を転がしているような乗り心地、何よりも色褪せない魅力が多くのライダーに支持されているのでしょう。チョロバイには、カワサキの名車が商品化されています。前編では伝説の礎となった4台を紹介します。
Z伝説はここから幕を開けた「Z750RS(ZⅡ)」
カワサキに与えられたすべての称号を総なめにしているのが、Z750RS(通称:ZⅡ)です。1973年に量産車として世界初のDOHC 4気筒エンジンを搭載した「ZⅠ 900スーパーフォア」の国内モデルとして登場しました。当時は「メーカーの自主規制」というワケのワカラナイ理由によって、国内販売は750ccがリミテッド。「ナナハン」は、ライダーの憧れの的でした。
排気量をダウンさせる場合、コスト面からボアダウンだけが行われることが多いですが、ZⅡは、ZⅠのメカニズムやスタイリングをそのままに、ボア&ストロークが750cc専用に変更されています。この手法は新しいエンジンを開発するくらい手間暇がかかるそうですよ。
チョロバイは、ディアドロップ型フェールタンクの「火の玉カラー」やエンブレム、特徴的な4本マフラーなど初期型のディテールを細かく再現しています。ここからZ伝説が始まりました!
マッハの血を受け継ぐ荒くれ者「KH250」
KH250(通称ケッチ)は、1976年から1980年まで製造された2スト3気筒エンジンを搭載するモデルです。石ノ森章太郎・原作の「人造人間キカイダー」に登場したマッハシリーズの後続モデルで、「キカイダー&ハカイダー」にちなんでKHという車名になりました(ガセネタです)
3気筒エンジンは、「2気筒エンジンよりパンチがある」「4気筒エンジンよりコンパクトで軽量」「 独特なエンジンサウンド」の3つがウリです。マッハよりは改善されましたが、KHもジャジャ馬を乗りこなす技量が必要だったようです。
チョロバイは、1980年に発売されたB5が再現されていると思われます。外装をライムグリーンに変更。シート後部の側面にKHの文字が白で記されています。今でこそライムグリーン一辺倒のカワサキですが、当時は珍しいカラーリングでした。
ローソンだけどコンビニじゃないよ「Z1000R」
ZRXでもコンビニでもありません。1981年にエディ・ローソンというレーサーが操って優勝したバイクです。ライバルはホンダCB900Fを操るフレディ・スペンサー。コーナーを攻め合うシーンにファンは大興奮。Z1000R(通称:ローソンレプリカ)は、それを記念して1982年に発売されました。
Z1000Jをベースとし、大容量の角型タンクとビキニカウルを装着。フロントブレーキディスクの大径化、サスペンションセッティングの変更、エンジンカバーの黒塗装、専用の段付きシート、専用セッティングのキャブレターが採用されるなどレプリカの名にふさわしいモデルとなっています。
エディ・ローソンは1982年にもシリーズチャンピオンを獲得。記念モデルとして翌年にKZ1000R2を発売しました。残念ながらローソンはヤマハに移籍。そのため仕方なく「スーパーバイクレプリカ」という名前で販売されました。そのため「ローソンレプリカと呼べるのはR1だけ」と言われています。
丸から角へ進化を遂げた次世代のZ「Z750FX」
FX(通称:フェックス)と言えば、参天製薬の目薬。そんなボケはさておき、Z750FXもチョロバイ化されています。1979年から1981年まで製造され、4ストローク空冷4気筒エンジンを搭載。ZⅠ/ZⅡの丸いデザインに別れを継げ、エッジの効いたフォルムで、新しい時代のZを主張していました。
実際のところ、基本性能の古さからライバルのCB750KやCB750Fなどの4バルブ新エンジン搭載車とは動力性能で勝負にならず。さらには2バルブエンジンのスズキGS750Eに対しても劣勢でした。不人気車でもジワジワと人気が出るのがカワサキらしいところ。販売台数が少なく、その後は中古車が爆上がりしました。
チョロバイは、ルミナスダークレッドというカラーを採用しています。タンクやテールカウルのライン、サイドカバーのエンブレムもしっかり再現。排気音が聞こえそうなくらいリアルです。
カワサキ聡明期4台の魅力は、40〜50年が過ぎた今も色褪せることはありません。次回は1980年代後半を沸かせた4台を「咆哮編」として紹介します。