バイクの排気と消音を担う重要なパーツがマフラーだ。見た目のドレスアップをはじめ、軽量化、パワーアップなど、バイクカスタムの醍醐味を味わうことができる。
そんなマフラーの交換はバイクカスタムの定番でもあり、入門編としてまずはやっておきたいメニューの一つ。
そもそもバイクのマフラーとは、エキゾーストパイプとサイレンサーから構成されるエキゾーストシステムのことで、燃焼された排気ガスを排出し、かつ消音するシステムのこと。このマフラーを交換することで、エンジンから排出される燃焼ガスの排気効率の上昇と、バイクが持つパワーをさらに引き上げる効果が期待できる。またカスタムマフラーは軽量な素材で製作されていることが多いため、車両重量を軽量化することで走行性能も向上させることが可能となるのだ。
JMCA(全国二輪用品連合会)って何?
JMCA政府認証マフラーとは、「全国二輪用品連合会」にて定められた各種騒音値(加速騒音・近接騒音)、排出ガスの濃度(一酸化炭素[CO] / 炭化水素[HC] / 窒素酸化物[Nox] / 非メタン炭化水素[NMHC])の測定試験を各車両型式・マフラー毎におこない、 厳しい規制に対応したマフラーのみ、JMCA政府認証マフラーとして販売する事が可能となる。
年々厳しくなるこれらの規制に対応したマフラーには、政府認証マフラーの証として、JMCAから発行される認証プレートを貼る事が許可され、日本国内における一般公道での使用が可能となるのだ。
純正からカスタマイズマフラーに交換するだけでイメージ激変
バイクに標準で装着されている純正マフラーは、エンジン性能を確実に発揮させるとともに、各種騒音値(加速騒音・近接騒音)、排出ガスの濃度をクリアすることを目的に設計されている。見た目よりそれらを重視するため、必然的にデザインについては制約ができてしまうのが実情だ。そこでより自分好みなデザインのマフラーに交換できるようにカスタマイズマフラーが登場した。
カスタマイズマフラーは材質やサイズに多くのバリエーションがあるため、レーシーにもスタイリッシュにも仕上げることができる。理想の外観に近づけることで、バイクの存在感を際立たせられる。また、マフラーは材質によっては軽量化が図られているものも多いため、選択次第で車体の軽量化へも貢献できる。
さらにマフラーは材質や内部のサイレンサー構造によって音の質や高さが変わるので、好みの音質に変えることが出来るのもマフラーカスタマイズの醍醐味と言えるだろう。
<KAWASAKI Z650RSの場合>左の写真は純正マフラー装着車。右がストライカーからリリースされているZ650RS用のフルエキゾーストマフラーだ。別のバイクに見えるぐらい見た目が激変していることがよく分かる。ドレスアップパーツは数多くあるが、やはりマフラーを交換することは効果が大きい。
STRIKER STREET CONCEPT チタンフルエキゾースト for KAWASAKI Z650RS
価格:225,500円(税込)
問合せ:カラーズインターナショナル
マフラーの種類は大きく分けると「スリップオン」と「フルエキゾースト」の2タイプがある
バイクマフラーには、サイレンサーのみを交換する「スリップオン」タイプと、バイクマフラーの構成部品全てを交換する「フルエキゾースト」タイプの2タイプがある。
スリップオンタイプは、エキゾーストパイプ後端から先にあるサイレンサーのみを交換するタイプで、簡単に取り付けられることと、価格帯が安く設定されていることが特徴。お手軽なドレスアップには最適だ。
一方のフルエキゾーストは、エンジンに取り付けられたエキゾーストパイプとサイレンサーのすべてを交換するタイプで、スリップオンタイプよりも大幅な軽量化とバイクの性能をフルに引き出しやすいというメリットがある。しかし、フルエキゾーストタイプの価格帯は一般的にスリップオンタイプの約3倍とかなり高め。取り付けには専門的な知識が必要であり、初心者にはハードルが高いのでショップで装着するのがオススメだ。
スリップオンマフラー
スリップオンマフラーはサイレンサーのみの交換になるため、基本的に大幅な軽量化やパワーアップは望めない。しかし、フルエキゾーストに比べて低コストでドレスアップ効果を得られるとして、人気のカスタムとなっている。
フルエキゾーストマフラー
エキパイごとの交換になるのでスリップオンマフラーに比べるとコストはかかるが、その代わり大幅な軽量化とパワーアップを望める。また、エキパイも変更するのでスリップオンマフラーよりドレスアップ効果も高いのが特徴だ。
マフラーの素材も種類がいろいろある
マフラーの素材によっても見た目、重さ、音が異なる
バイクマフラーを構成するエキゾーストパイプやサイレンサーの素材には、大きく分けて4種類ある。それぞれ重さや強度・デザインにも関わる重要な要素だ。
中でもレース仕様のバイクに装着されていることの多い「チタン素材」のバイクマフラーは、軽量性とサビ知らずの美しい焼け色が特徴。ただ硬い素材のため加工が難しく、素材自体が希少ということもあり、チタンを使用したバイクマフラーは非常に価格が高い傾向にある。
そして合成繊維を高温で焼き炭化させた繊維を織り込んだ「カーボン素材」。マフラーに使用される素材の中でも最も軽く、外装パーツにも使用されるなど、軽量性を活かしてドレスアップアイテムとしても利用されることの多い素材だ。
「ステンレス」は、バイクマフラーの中でも最も使用率が高いポピュラーな素材。鉄よりも軽量で強度があり、かつサビが出にくいことから、長く綺麗な状態を維持できる実用性に優れた素材となっている。
最も身近な素材である鉄製のマフラーは、とにかくコストを低く抑えられるのが魅力。しかし非常に重いため軽量化は期待できず、錆びやすいため錆び防止の耐熱塗料による予防が必須。性能向上よりも重量感のあるルックスが好みの人にはおすすめの素材となっている。
スチール(鉄)
マフラーの素材として最も一般的なのがスチールだ。加工が簡単であり、他素材に比べコストが抑えられるため純正マフラーに多く採用されている。弱点は錆に弱いこと、重量が重たいことなどが挙げられる。
カーボン
マフラーの素材として唯一非金属なのがカーボン。炭素繊維が織りなす独特な模様が美しく、レーシーな雰囲気が好きな人にはたまらない素材だ。加工が難しいため製造コストが高くなる点がデメリット。
チタン
他の金属に比べて非常に硬くて軽量なのが特徴。チタン製のマフラーは排気熱で焼けたとき、虹色のような美しい焼け色になるのも魅力的。ドレスアップには最適な素材と言えるだろう。
ステンレス
ポピュラーな素材のため純正品から社外品まで多くのマフラーで採用されている。スチールよりも錆びにくく強度が高いことが特徴。また、強度が高いため板厚を薄くでき、重量も軽い。
カスタマイズマフラーの一例を紹介! 愛車にマッチするマフラーを見つけよう!
カスタマイズマフラーは様々な車種に対応できるように数多くがラインナップされている。洗練されたデザインで機能性も持ち合わせるマフラーばかりだが、どれにするか迷ってしまうもの。ここで紹介するマフラーはごく一部の一例だが、参考にしてもらってはいかがだろうか。
ヨシムラ Slip-On GP-MAGNUM105サイクロン EXPORT SPEC
スリップオンマフラーながら、全域でノーマルを上回るパワーとトルク、程よくマイルドさも持つサウンドは、GB350エンジンの鼓動をライダーに心地良く感じさせる。ヨシムラエンブレムやレーザーマーキングされたロゴなど細部にまで作り込まれている。
OVER SSEメガホン アップマフラー
エキパイはノーマルレイアウトに。ヒートガードはサイレンサーから自然なラインを描くような形状を採用。シンプルでまとまりをもたせている。サイレンサーにはSSEメガホンを採用し、エキパイとはうって変わりカスタム感の強い質感を持たせ、OVERらしさを強調している。
AELLA チタンフルエキマフラー/車検対応/チタングラデーション
チタングラデーションが美しい「ワイバン」とのコラボマフラー。見た目のドレスアップだけでなく、-8kgという大幅な軽量化を実現。最高出力も96.6ps→103.7ps、最大トルクも8.7kg/m→9.0kg/mとSTDと比較してもパワーアップが可能だ。
SP忠男 POWERBOX FULL RS ステンレス
2022~XSR900 POWERBOX FULL RS ステンレス グラベルガード が正式名称。極限までショートに仕上げたルックスで、レーシーな雰囲気を高めている。全域に渡ってトルクアップが可能で、ライダーの意思に忠実な「気持ちイー」加速を味わえる。
ARCHI スラッシュメガホンマフラー
迫力満点のメガホン部分はZ900RSの車体ボリューム感を十二分に受け止めるかのように拡張され、スラッシュカットされたテールエンドに向けて抜群の存在感を発揮。バッフルが僅かに顔を覗かせるよう設計され、ミサイルを彷彿させるワイルドなデザインだ。
ストライカー INTER MODEL SC FULL EXHAUST OFF-Type B JMCA シングル
Hayabusa`22~(3型)用の車検対応1本出しチタンフルエキゾーストマフラー。サイレンサー、エキパイともに美しいチタンを採用しながら異形カーボンエンドとなっている。純正比約75%/約-15kgの軽量化を実現しているもの注目だ。2024年1月中旬からデリバリー開始の予定。
IXIL IX RACE・MK2スリップオンマフラー
スペインのメーカーであるIXIL製のスリップオンマフラー。MotoGPの様な“ヘキサゴンメッシュ”のエンドデザインがスタイリッシュだ。音量もJMCA政府認証モデルの為、規制値もクリアしている。