時にはゆっくり温泉に浸かったり、美味しい料理を味わいたい。できれば静かに過ごせる場所がいい。島牧村にある「宮内温泉旅館」は、そんなライダーの希望に応えてくれる秘湯です。
江戸時代に猟師が発見した温泉
島牧村は日本海に面した人口約1200人の小さな村です。和人がこの地に足を踏み入れたのは、北海道開拓以前の江戸時代(寛永)と言われています。宮内温泉は江戸後期に猟師が発見しました。仕留め損ねたクマが、滝つぼで傷を癒していたことから「熊の湯」「トマリ川温泉」などと呼ばれるようになり、安政元年に、アイヌ語のクウナイ・ユウナイ(湯の川)から転じて「宮内(ぐうない)温泉」と呼ばれるようになりました。
※諸説あります
ご神木に迎えられる
宮内温泉旅館は昭和20年代に開業しました。国道229号から山側に4㎞ほどの所に位置する一軒宿です。樹齢100年以上のご神木に迎えられると、宿の手前にダートが現れます。高いギアで突っ込んだり、慌ててブレーキングして転ばないよう注意してください。
宿の前の土は硬く締まっていますが、雨天など重量があるバイクはサイドスタンドが沈んでしまうかもしれません。スタンドの下に敷く板を用意したほうが良いでしょう。
源泉かけ流し100%の天然温泉
泉質はナトリウム・炭酸水素塩・硫酸塩泉で、源泉かけ流しと言う贅沢さ。内風呂の右側は高温、左側は低温です。最初にぬるめの浴槽で体を慣らして、次に高温に入った方が体への負担は少ないでしょう。
内湯に水晶の原石が鎮座しています。
露天風呂は1997(平成9)年に造設されました。あたりに民家はなく、夜は満天の星空が楽しめます。静けさの中、遠くからシカの鳴き声が聞こえます。
宿を語るうえで欠かせない ゾウの花子
写真提供:宮内温泉
1971(昭和46)年11月には、ゾウも病を治しにやってきました。旭川冬祭りに出演したゾウの花子は、骨折症状を発症して立てなくなり、治療のために宮内温泉で長期療養していました。村人は花子を歓迎し、宮内温泉に浴槽付きの「花子のおやど」という小屋を建てて長期に渡って面倒を見たそうです。
驚くほど水がおいしい!
宮内温泉は大平山の伏流水の地下水をくみ上げています。廊下には自由に飲める給水設備を用意。ミネラルたっぷりでヒンヤリと冷たく喉を潤してくれます。蛇口から流れる水も天然水。コーヒーや炊飯に最適です!
共同の冷蔵庫や電子レンジも完備しています。
まったりと部屋で夕飯を味わう
夕食はお部屋でいただきます。地元の素材を使い、品数は5品、7品、8品から選ぶことができるのが嬉しいです。
刺身盛り合わせは地元のタコとエビ、そして「ルイベ」が添えられています。ノルウェーなどからトラウトサーモンが輸入され、サーモンの刺身が珍しくなりましたが、サケやマスなどの魚を冷凍させて食べるルイベは、アイヌの食文化発祥の郷土料理です。
「たこしゃぶ」も絶品。刺身でも十分食べることができるタコを軽くお湯をくぐらせてタレでいただきます。シンプルでありながら食通も唸らせるおいしさ!←食通って誰だ?! 俺か?
おひつのご飯がカラになったところに、ラスボスのホッケが登場しました。これまで見たことがない大きさです。お茶碗をグラスに変えて、お酒を楽しみながらいただきます。これぞ旅の醍醐味。しあわせな時間が流れていきました。
若女将に見送られて出発
温泉は24時間入浴可能。露天風呂で目覚める朝は最高の贅沢です。「もっと泊まっていたい」「いっそのこと定住したい」などと後ろ髪を引かれながら、若女将に見送られて出発しました。
「宿泊はできないが温泉に浸かりたい」「せめて料理も味わいたい」と言う方のために、宮内温泉旅館では日帰り温泉のほかに完全予約制でランチも行っています。また、島牧在住の小学生(当時)がデザインした「しょうちゃん」とのコラボTシャツも販売中。一度見たら忘れられない絵柄が、内山田洋とクールファイブ以上にクール。サイズはS~XXLでカラーも豊富です。旅の記念にいかがですか?
宮内温泉旅館
住所:北海道島牧郡島牧村泊431
電話:0136-75-6320
定休日:あり。Facebookで確認してください。
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