皆さんこんにちは、フラッグシップの上野です。
さて今回もライターさんが紹介してくれた記事に作り手側からの目線で発信する第四弾。
タクティカルライディングブーツ(品番:FSB-802)を作り手側から説明をしたいと思います
ハシルクリエーションの野村さんが かっこいい写真と2年使ってくれた感想を
記事にしてくれたので本当は私なんかが追加したとこころでどうなの?と思いますので、靴の構造についてのお話を少ししてから、FSB-802の解体図に移りたいと思います。
製法によってそれぞれ特色が違う!!
まずはざっくりと靴の製法と種類について説明をしていきましょう。
かなり大まかに分けて、靴には4つの製法があります。
1:糸で縫い付けている製法 ・・・・「グットイヤーウエルト式」「マッケイ式」昔からある製法
2:接着剤で貼り付ける製法・・・・「セメント式」 「加硫式」大量生産に向いている製法
3:縫いと接着を使う製法 ・・・・「ステッチダウン式」 「カルフォルニア式」色々な製法を組み合わせて作る製法
4:一体成型する製法 ・・・・・「加硫圧着式」「インジェクション式」 「スラッシュ式」ゴム長と言われる長靴はこの製法
製法はそれぞれありますがこの『〜式』と言う製法は、甲部(アッパー)と底部(ボトム)を接合する方法のことを指します
つまりは、靴は大きく分けて甲部(アッパー)と底部(ボトム)の二つの部分で構成されていると言うことになります。
紳士靴・パンプス・スニーカーそれぞれ違う名称があり、ここでそれらを紹介するにはあまりにもマニアック過ぎるので割愛します(汗)。
靴の性能を左右する普段見えないところをご開帳!
先程、製法やらアッパー、ボトムといったことを文字で説明してきましたが、百聞は一見にしかず!!
FSB-802で各部の名称の説明をしたいと思います。
このブーツを半分に切ったものがこれ。
これだけだと、イマイチピンとこないので……名称を入れてみましょう。
ちなみにこのFSB-802は「セメント式」の製法を用いて作られています。
大量生産に向いている製法で量販店で売られている物の大半がこれです。
思った以上に素材が重なるボトム部分
先ずはボトムの説明から。
大きくいうと、『インソール』『ミッドソール』『アウトソール』を一つにした物をボトムと呼びます。
その断面、特にインソール部分を見てみると結構複雑に素材が重なり合っているのがわかります。
実際写真では伝えきれませんが、不織布とかプラ板が複雑に重なっているんです。
こうすることでカッチリしたインソール部分が作られるわけです!!
一本筋の通った、ブレない靴の条件とは?
この解体図のなかで普段聞きなれない『シャンク』という名称、それを説明していきましょう。
シャンク(Shank)とは、靴の土踏まず部分に挿入される部品のことで、踏まず芯とも呼ばれています。
・靴底の変形防止
・ヒールの固定(婦人パンプスのハイヒール)
・歩行の助長
などがシャンクの役割です。歩行の助長とありますが、板バネの様な物で反発を利用して推進力を得られると考えて頂ければわかりやすいかと思います。
昔は木材や皮革などの素材が用いられていましたが、今では鋼鉄製や樹脂製のものが大部分を占めています。
アウトソールとインソールの間に埋まっているため普段このシャンクを目にする機会はほぼありません。
このシャンクは土踏まずの支えとなる重要なパーツで、歩行時にかかるエネルギーを補助し安定感を生みます。特にヒールハイトの高い婦人パンプスでは顕著で、仮にシャンクが折れるとグラつきやヒール折れの原因になるそうです。
シャンクが入っていない、あるいはシャンクが効いていない靴は形状が歪み、靴そのものの寿命が短くなるばかりか、脚のトラブルにも繋がりうる重要なパーツです。
そんな肝心要のシャンク。弊社ブーツに入っているシャンクはこんな形状!
まさに板バネ的な感じですね。それを支える硬質のインソールと合わせで使用しています。
このブーツのカチッとしてブレのない履き心地と、適度な反発はこうして作られているのです。
防水性能を担うアッパー部分
次にアッパー側を説明しましょう。
最大の特徴としては、『ヴォクサーム』と言う、透湿・防水フィルムを使用しています。
そんな防水フィルムはこんな感じ。
フィルムといってもビニール袋のような薄いものではなく、クッション性のあるブーツ型をしたフィルムなんです。
その防水フィルムを支える表面素材は耐久性のあるマイクロファイバー(人工皮革)を使用し、丈夫でしなやかなナイロン生地と組み合わせることで、見た目より軽く作ることが出来ました。
脱ぎ履きしやすいことも重要!
そしてこのブーツの最大の特徴『スピンオン(SPINON)システム』というワイヤーシステムです。
このワイヤーシステムを足首上、足首下、二箇所で調整することで自分好みに調整が可能となるんです。
足の形は人それぞれ。甲の高さ、足首やふくらはぎの太さは千差万別。二箇所で調整することで、個人の足によりフィットさせることができます。
さらには、下側を締めて、上側を少し緩めにすると歩行時らくに行動できるとか、
シフトチェンジを繰り返す時には、下側を少し緩めて上側を締めて運動性を高めたり、といったような調整も自由にできるんです。
それに、とにかくワイヤーシステムのおかげで脱ぎ履きが楽!!
やはりツーリング先のブーツの脱ぎ履きはストレスありますから楽に出来た方がいいですよね!!
靴はアッパーとボトムのバランスが重要です
バイクのフレームとエンジンのバランスが大切なように、靴もアッパーとボトムのバランスが重要です。
耐久性のあるアッパーを使用し、しなやか且つ軽く。
ボトムはアウトソールは耐油性でミッドソールは軽くクッション性の高いEVA素材。
インソールは上で説明した反発性を生み出す仕様。
これらの要素が一つになり、FSB-802になるわけです。
長時間履いていても疲れにくい!!歩きやすい!! は色々なノウハウが詰め込まれた結果なんです。
ぜひ一度お店で試着してみてください。物は嘘をつきません。違いを体感できるはずです。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
【FlagShip・フラッグシップ】
オートバイ専用のジャケット、パンツ、グローブなどのウエア類からバッグ、アクセサリーまで幅広くライディングギアをラインナップしているFlagShip(フラッグシップ)。 エルフ(ELF)の日本正規販売元オフィシャルメーカーでもある。
【執筆者・FlagShip企画室 上野時夫】
ライディングジャケットはもちろん、バイクでライディングする時に使用するギアに至るあらゆるものの企画を担当。素材から製造まで幅広い知識をもつ。
初めてのバイクは国産アメリカン。そこからなぜか旧車に目覚めAT90なる1965年生の90cc2サイクル2気筒の謎なバイク(音が最高でした……)を所有経験あり。その他にも色々乗り、大型自動二輪免許を取得してからはアメリカンに再び戻りハーレー・ダヴィッドソンを経て、これまた何故かオフロードに目覚める。現在WR250Rとカブを所有。