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消耗品であるバイク用チェーン。交換時は正しい適合品を選ぶ必要あり!
バイクのチェーンは、ブレーキパッドやタイヤなどと同じように消耗品なので、寿命が来たら交換が必要となる。
チェーンの寿命は、清掃・注油などのメンテナンス状況や乗り方によっても異なるので、距離による判断は難しい側面もある。
チェーン交換時期を判断する症状は様々なので、まずは下記事を参考に、寿命を迎えたチェーンに発生する症状をご確認いただきたい。
もし自分の愛車のチェーンが交換時期にあるなら、速やかなチェーンの交換が必要だ。
その際、自分のバイクに適合するチェーンをどのように選んだら良いのか? 実際にチェーンメーカー、アールケー・ジャパン株式会社の方に解説をいただいた。
チェーンの適合に欠かせない4つの要素!
愛車のために最適なチェーンを選ぶには「チェーンのサイズが合っている」「チェーンのリンク数が合っている」「チェーン指定の排気量に合っている」「チェーンの使用用途に合っている」の4つの要素を満たすのが大前提となる。
また、その他にも特定の機種によっては、装着可能なチェーンが限定される特殊事例もある。
そのため、自分の愛車に合ったチェーンを選ぶには、RKの集積したデータをまとめた「モーターサイクルチェーン車種適合表」を参照するのが最も確実で近道だ。
車両メーカー、排気量、車種、年式をたどれば、最適なチェーンがすぐにわかるので、初心者でも間違えることなく適合チェーンにたどり着くことができる。正確な年式は車両の登録書類や自賠責保険の証書を参照するのが良いだろう。
旧車や輸入車など、適合表に載っていない機種の場合は、RKの問い合わせ窓口に問い合わせれば適合確認可能なケースも多い。
チェーンを選ぶための4つの要素を詳しく解説
1.チェーンのサイズが合っている
現在新車に採用されているチェーンサイズは一般的に420、428、520、525、530の5種類となる。チェーン交換する際はこのサイズが純正チェーンと合っているのが大前提だ。
チェーンサイズの見方は下図の通り。
420であればチェーンのピンとピンのピッチが4/8インチ、チェーンの幅が2.0/8インチとなり、525であれば、ピンのピッチが5/8インチ、チェーンの幅が2.5/8インチとなる。※ただし、428の“8”はローラー径に由来している。
チェーンのサイズはプレートに刻印されているので、適合表と共に現在装着されているチェーンサイズを確認しておけば確実だ。
チェーンサイズが同じでも、すべてのチェーンが装着できるとは限らない
上の写真は上下どちらも520サイズだが、プレートの大きさとチェーン幅(ピン全長)は異なっている。
ピンのピッチやローラーリンクの内幅は同一となるが、プレートサイズやチェーン幅が異なれば、機種によっては、車体や部品に干渉することもある。そうした情報も網羅されているのがRKの適合表なのだ。
2.チェーンのリンク数(コマ数)が合っている
チェーンの長さはリンク数やコマ数として呼称され、チェーンのピンひとつを1リンクとしてカウントしてリンク数が決定される。
リンク数は適合表を確認すれば一目瞭然だが、スプロケットの丁数(刃数)が純正から変更されている場合、チェーンのリンク数が異なる可能性もあるので、中古車の場合は注意が必要だ。
チェーンは、100L(100リンク)、110L、120Lといった1つの製品で複数のリンク数が用意されている。
例えば指定リンク数が112Lの機種の場合、120Lのものを購入して8リンクカットして取り付けることになる。
3.チェーン指定の排気量に合っている
チェーンは同じサイズでも様々な種類が存在し、RKの中でも実際の耐久レースで使われているハイパワー車向けから、純正相当のスタンダートモデル、さらに旧車や小排気量向けの極薄シールリングを採用したモデルまで、用途や排気量別に様々なラインナップが存在する。
その中でも注意しなければならないのが排気量指定だ。
チェーンには必ず指定排気量が存在し、RKの場合、商品の箱にしっかり明記されている。
チェーンを選ぶ際は自分のバイクが指定の排気量内に入っているかどうかをしっかり確認するようにしたい。指定排気量を超えて、より大きな排気量のバイクへの装着は危険なのでくれぐれも気を付けたい。
4.チェーンの使用用途に合っている
チェーンには指定排気量以外にも、製品ごとの特徴が存在する。
RKで言うならば、最高峰モデルのXXWチェーンは鈴鹿8耐のレースマシンがそのまま装着しているほどのハイスペックな高耐久チェーンである。
だからこそ、ハイパワー&高トルクを持つマシンにも安心して使うことができる。
しかし、このXXWがすべてのバイクに最適かというと話はそう単純ではなく、ミドルクラスのバイクでツーリングメインで使うのであれば、コスト面も含めてRXWの方がより適しているのだ。そうした情報が載っているのが適合表となる。
RKの適合表は車種ごとの特殊な取り付け注意点を網羅!
RKのモーターサイクルチェーン車種適合表にはチェーンに関して特定の車種の注意点も網羅されている。例えば、
1969〜70年代のCB750Kシリーズに関しては注釈として※1
AX−1には注釈として※4といった具合に、留意すべき点が明記されている。
それぞれの注釈の詳細は、ページの下に明記されている。大変役立つ内容だ。
適合表では判断出来ない注意点
これまでの通り、チェーン選びにはサイズや指定排気量など様々な条件が存在し、それが明記されているのがRKの適合表となっている。
つまり、年式や機種がはっきりわかっているのであれば、適合表通りのチェーンを選べばまず間違いがない。ただし、前オーナーのメンテナンス履歴がはっきりわかっていない中古車の場合、注意すべき点が存在する。
スプロケットの丁数が変更されている?
スプロケットの丁数変更は、主にパワーの無い小排気量車で行うことが多いカスタムで、ファイナルの減速比の調整を行う目的で行われる。
具体的な方法としては、前後のスプロケットの歯数の差を近づければ高速型となり、前のスプロケットを小さく、後ろを大きくして差を大きくすると、加速型の減速比となるのだ。
こうした丁数変更が行われている場合、チェーンの長さが純正新車時とは異なる場合があるので注意が必要である。装着されているスプロケットが純正ではない場合は、スプロケット表面の歯数の刻印を確認した方が良いだろう。
コンバートされている?
コンバートとは、特に旧車に行われていることが多く、今ではあまり使われていない630サイズのチェーンをより現代的な530サイズに変更するなど、チェーンサイズを変えるカスタムだ。
旧車の時代とは比べ物にならないほど、チェーンの強度が飛躍的に高まった現在、大きくて重い630チェーンを530に変更すれば、フリクションロス低減、軽量化、チェーンの長寿命化など大きなメリットがある。
コンバートされている場合は、チェーンだけでなく前後のスプロケットも必ず変更されているので、適合表のチェーンとは異なってくるので注意が必要だ。
一方で、チェーン交換のタイミングで丁数変更やコンバートを行う場合は、実車を確認しつつ指定排気量や長さなどに合ったチェーンを選ぶようにしよう。
チェーンの装着はプロショップに依頼!
チェーンの交換は専用の工具が必要になるなど、一般のバイクユーザーが交換するのは難しい作業だ。
だからこそ、交換はバイクショップやバイク用品店に持ち込んで行うようにしたい。その際、チェーンを選ぶ時には、プロの意見を交えて適合表を参照しつつ指定排気量、長さなど最適なものをチョイスしたい。寿命を迎えたチェーンを新品に交換すると、ライディングフィールが激変し、非常にスムーズに感じるはずだ。
ぜひ、交換時期を適切に守って安全で快適な走りを楽しんでいただきたい。