毎年やってくる暑い夏、バイクに乗るライダーは高い気温に加えてエンジンの排熱や道路面からの照り返しなど熱波にさらされヘルメットの中は汗まみれ。夏場の二輪教習に従事する私の場合、やはり気になるのがヘルメットのニオイ。教習生のいくつかの疑問の中の一つ「ヘルメットのお手入れ」と、シャンプーの香りを付ける方法をご紹介します。
ヘルメット内装の状態
地肌に直接触れる肌着や下着を洗わず放置しないと思います。特に夏場は刺激臭が立ち込めるのは想像できるのではないでしょうか。同様に、私たちライダーの頭に密着するヘルメット内装にも同じようなことが言えるのです。
ヘルメット内装の手入れをしないと・・・
ヘルメットを被った時に「フワッ」と臭う汗のニオイ・・・。好みはあると思いますが、あまり心地良いとは言えません。暑い季節こそ、汗と皮脂にまみれたヘルメット内装をお手入れしてみましょう。
先に申し上げた肌着や下着の話のように汗まみれの内装は衛生的によくありませんし、刺激臭による実害も考えられます。そのほかにも、汗と皮脂で汚れたままだとヘルメット内装のウレタンパーツやスポンジが劣化しやすく寿命を縮めてしまいます。強度が注目されるヘルメット性能ですが、内装のクッション状態が正常でなければいけません。日々の手入れにより命拾いすることも考えられるのです。
ヘルメットパーツの手入れの方法
ヘルメット内装は主に、「頭」と「頬」パーツに分かれており、国内メーカーのハイエンドモデルなると内装パーツ点数が多くなる傾向にあります。今回は、私のヘルメットラインナップの中で最も汚れやすい「アライV-CROSS4」の手入れをご紹介します。
手順1 内装を取り外し
いきなり取り外さずに、組みあがった状態を必ず確認。初めての方は元に戻せるように写真を撮り、周囲のベテランライダーと行いましょう。内装は軽く柔らかいパーツです。力任せの取り扱いは厳禁。慎重かつていねいに作業しましょう。特に、爪で引っかかっているパーツは気付かず引っ張ってしまうことがあります。
手順2 状態の確認
各パーツのクッションやウレタン部品、スチロール樹脂を確認し損傷していないか確認しましょう。損傷している場合は純正部品と交換または買い替えましょう。更に分解していくと複雑な形状をしているので、雑に扱わないようにします。また、接着剤や粘着テープを使用してある部分が外れていないか確認しておきましょう。
手順3 必ず優しく手洗い (重要)
意見が分かれるかもしれませんが私は洗濯機を使用しません。洗濯ネットに入れて洗う方法もあるそうですが、命に係わるパーツなので使用状況を入念に確認したいのです。特殊な品ですが決して大きいパーツではないのですぐに洗えるでしょう。ここで一工夫したいのが、シャンプーやトリートメントを使って洗うということです。皮脂汚れが落ちるという事はもちろん、爽快な香りがするヘルメットになります。ちなみに仲間のライダーにこの方法を紹介すると「シャンプーで内装を洗う発想はなかった!」との反応が多いので、意外な方法なのかも?
熱湯厳禁。接着剤や粘着テープが剥がれや火傷のおそれがあります。必ず水かぬるま湯で洗いましょう。激しく汚れている場合を除き、洗剤等は少なめにし、黒ずみや変色があったとしても、無理に落とさないようにしています。
※ シャンプーを使用する場合、特に推奨されていないので自己責任という事になります。
手順4 脱水
洗濯ネットに入れ1分ほど洗濯機で脱水するか、スポンジ部分にタオルを優しく押し当てて行っています。内装パーツはスポンジ等で構成されているので、水分はすぐに抜けます。ついついやってしまいがちな「雑巾絞り」はダメ!内装パーツを痛めてしまうと、本来の効果がなくなってしまいます。
手順5 直射日光を避けて陰干し
直射日光を避けて風通しの良い場所で陰干ししてあげましょう。乾燥したら早めに回収して元に戻しましょう。干すときには、デリケートなスポンジ部分は洗濯はさみ等で挟まないようにしています。特に必要ありませんが、ホームセンターなどで入手できる「干しかご」があれば便利です。
手順6 装着
元の通りになっているか必ず確認してください。特に頬パッドは左右形が似ているものがあるので、入念にチェックしましょう。確認後、正常な場合は実際に被って地肌への感触や違和感が無いか、さらに確認を重ねます。(この瞬間、シャンプーの香りに癒されます。)
ここまで内装の手入れができれば、出先でヘルメットを脱いだ時の爽快感が増すと思います。ぜひ試してみてください。
まとめ
日々の業務において、教習生からの質問で意外に多い「ヘルメットの手入れ」についてご紹介しました。特に夏場は多量の汗をかくことが多いので「洗いたいけど、直接洗っていいかわからない」という意見を多くあります。正しく優しく洗うことで清潔で快適なバイクライフを得ることができ、そして安全運転に至るという事につながります。工夫次第で好みの香りを付けてみてはいかがでしょうか。