世界を目指す未来のライダーたち
Mini-GPとは統一されたレギュレーションで戦うレースだ。10歳~14歳のライダーが参加し、マシンや競技規則、技術規則などを統一し、世界各地で開催されるというもの。
FIM MiniGP国際規則により規定されたOHVALE(オバーレ) GP-0 160を指定車両とし、レース主催者が点検、整備したレンタル車両で走るため、イコールコンディションでライダーたちは戦うことになる。
レースは5大会10戦に渡って行なわる「年間シリーズ戦」。ラウンド毎の取得ポイントの合計により、年間ランキングを決定する。
年間ランキング優勝者には、2023年に開催が予定されている『MiniGP World Final』 に参加する権利が与えられる。『MiniGP World Final』の勝者には次のステップとなる『Road to MotoGP』のプログラム選考会参加または、直接の参戦が提供される。
まさにMotoGPに直結している、未来のライダーを育成するのがMini-GPなのだ。
国立和玖がダブルウイン! 富樫虎太郎の連勝を止めた!!
2023 FIM MiniGPジャパンシリーズ 順延・第1戦
2023年6月25日(日)に茨城県・筑波サーキット コース1000で開催された第1戦。順延していたため、実際には3戦目となる。
注目選手は、開幕4連勝中の #10富樫虎太郎選手だ。
今回は雨の予報はなく、さらに初夏の厳しい暑さは何とかしのげそうな曇りの予報だったが、その予想に反して、しっかりと晴れた天気となった今季3戦目となるシリーズ第1戦[順延]。雲は多めながら、直接の強い日差しを受けながら、さらに湿度も高く、夏日となる最高気温30度を記録した。
今回もアドバイザー陣が各選手の走りをチェックし、走行後に直接指導を行なっていく。このフリー走行では、3本ともに #4国立和玖 がトップタイムをマーク。次に続くのが、#10富樫虎太郎 と #15松山遥希で、この3名でフリー走行のトップ3を分けあう形となった。
そして迎えたレース1の予選。ここでもやはり #4国立 が速く、このセッションでも唯一の37秒台(37秒654)でポールポジションを獲得。これに続くのは #10富樫虎太郎 だが、コンマ5秒落ちの38秒217、そして #15松山遥希 が38秒279、#7吉原寅之介 が38秒283でこれに続いた。
RACE 1
15周で争われたレース1では、スタートでポールポジションだった #4国立和玖 が飛び出し、#10富樫虎太郎、#15松山遥希が追う展開。この3台に少し離される形で、4番手以降が集団でこれを追いかける。
国立はレース序盤からペースを崩さず、後続を引き離すべくプッシュをしていく。一方トップを追いかけていた松山は徐々に富樫との2番手争いに変わっていく。
レース後半となった9周目、トップ3台に少し離されていた4番手争いを繰り広げていた#2土井陽希と#8知識隼和が2コーナーで接触し転倒。1コーナーからこのアクシデントが終わる2コーナーまで比較的長い距離でのイエローコーションはなかなか撤去されなかったこともあり、この筑波コース1000での一番の抜きどころを使えず、3番手を走行する富樫は何度も松山の前に何とか出ようと試みるも、出るに出られないままレースは終了。
国立は独走でチェッカーフラッグを受け今シーズン初優勝となった。
RACE 2
18周で争われたレース2だが、そのウォームアップラップのスタートで#3知識可穏が転倒。エアバッグも開いてしまったため、いったんピットへ戻る。その間にウォームアップラップを終え、各車がグリッドにつき、レースはスタート。このスタートでは、#11蘇勇太が動いてしまったため、ジャンプスタートという判断でライドスルーペナルティが出されたものの、レース中にこれを実行しなかったため、このレースは失格となってしまった。
レース自体は、レース1と同じく、スタートを決めた #4国立和玖がレースを引っ張る展開。これに続く #10富樫虎太郎、#15松山遥希 は早々に2番手争いにターゲットを定め、2台でひたすらやり合う展開となった。レース1で黄旗が出され、思うようにパスできなかった#10富樫にとってはそのうっぷんを晴らすとでもいうのだろうか、この2台の2番手争いは目まぐるしく順位が入れ替わる状態となった。それは2番手争いにとどまらず、その後方の4番手争いも #5今井勝也 と #7吉原寅之介 の2選手で常に順位が入れ替わる展開となった。
最終的には、#10富樫、#15松山 を従えて #04国立 が、この筑波ラウンドで2連勝を飾るパーフェクトウイン! 2位争いは #10富樫 が制し、#15松山 は悔しい3位。惜しくも表彰台を逃した4位には、7番手スタートの #7吉原寅之介、5位には #5今井勝也、以下 #14森山龍之介、#11蘇勇太 というオーダーで開幕戦順延の筑波戦は終了した。
レース後の選手のコメント
【レース1】・【レース2】 優勝
国立和玖
・ランキング 現在2位
スタート直前にクラッチに問題が出てしまいスタートができるかどうか心配になりましたが、無事に走り切れてよかったです。レーススタートから5周くらいまではプッシュをしていき、その後はペースを少し落としていい感じでチェッカーを受けることができました。レース2もいいスタートが切れて、前半プッシュしていって、後半は後ろのペースを見ながらの走りに切り替えました。無事に優勝できてよかったです。
【レース 1】3位・【レース 2】 2位
10富樫虎太郎
・ランキング 現在1位
いつもうまくいくとは限りません。レース1はスタートをミスしてしまいました。これがなければもう少しトップ争いをできたかもしれません。トップの国立選手から離れてしまって追い上げようと思っていたところで黄旗が出てしまって、1コーナーで勝負をかけたかったのができなかったのが痛かったです。レース2も最初から置いていかれてしまって、頭を切り替えて2番手争いに集中してがんばろうと決めて抜いたり抜かれたりしたけれど最終的に2位でフィニッシュできてよかったです。
【レース1】 2位・【レース2】 3位
松山遥希
・シリーズランキング3位
レース1は、スタートで3番手につけていたのですが、松山選手にかわされ4番手を走っていました。最終ラップに知識隼和選手をかわすことができ表彰台に上がることができてよかったです。レース2はスタートでトップに立つことができたのですが、なかなかペースをつかむことができずにいたら、松山選手と富樫選手に抜かれて3番手に下がりました。その後、2人についていくことができていたのでチャンスを伺っていましたが仕掛けるところまでいけなかったので、次戦筑波、そして初開催となる鈴鹿南コースで優勝を狙っていきます。
TEXT&PHOTO : FIM MINI GP JAPAN SEREAS