2008年にカワサキ ニンジャ250Rがリリースされて以降、現在までフルカウルスポーツバイクが人気となっている。
人気に拍車がかかっているため各社開発に力を入れていて、ライバルよりも優れたスペックや装備を導入するなど差別化が図られている。
また近年では規制などの関係でバイクに装備しなければならないものが増え、バイクの新車販売価格が徐々に高騰してきている。
ニンジャ250Rは登場当時52万円で販売されていたし、その後ホンダからリリースされたフルカウルスポーツバイクのCBR250Rは50万円をきっていた。
新しいユーザー層にアプローチするうえで安価で購入しやすいというのは重要な要素だったと思う。
だが現在は上記のような背景から60万円台で販売されれるのが当たり前だし、高スペックな車両は70、80万円台だったりもする。
前置きが長くなったが、そんな中で50万円台で購入できるのがスズキ GSX250Rなのだ。
現行ではABS付きと無しが選択可能で、無しは53万6800円。有りでも56万9800円。
ライバルより安い。この事実は「他の車両より劣る」というわけではない。
オートバイの魅力は価格に比例しないのだ。今回はGSX250Rの魅力を探ってみた。
GSX250Rの足つき
GSX250Rは数値上シート高が790mmと低め。
実際に跨ってみると足を下す位置にちょうどステップがあって、前後のどちらにするか迷う。
結果ステップの後ろにおろした方が足つきは良好。
両足ならつま先、片足なら踵もベッタリ。
今回はABS付きのGSX250Rを借りたので車両重量は181kg。
このクラスとしては軽いわけではないが、取りまわしは楽だった。
GSX250Rの燃費
基本的に試乗インプレッションの際には同じコースを走るようにしている。
下道メイン、最後に高速道路を走って高速道路の走破性をチェックするルートだ。
先に結論からいえばGSX250Rの燃費は30km/Lだった。
これはライバルの250ccクラスと大差なかったのだが、燃費計を見ていると下道での燃費はライバルと比べても良好。
だが逆に高速道路ではライバルに比べて巡行時のエンジン回転が高く伸びなかった。
GSX250Rの積載性
フルカウルスポーツバイクなのでタンデムシートは狭い。
ただタンデムステップの根本部分にネットなどをかける為のフックが用意されている。
タンデムシートは鍵で脱着が可能。
シート裏には輪っかが二つ配されていてヘルメットの顎ひもをかけておくことができる。
左集中スイッチにはゴムのキャップで隠されたネジ山が現れる。
ここを使えばスマートフォン用のバーを簡単に装着できる。
一般道での走破性
GSX250Rは諸元表だけ見るとライバルのフルカウルスポーツと比べて非力。
そのうえ車両重量もあるので動きが重いことを想定していた。
ただそんな思い込みとは裏腹にGSX250Rはアクセルを開けると軽快に加速していく。
アクセルを開けると気持ちよくエンジンがふけてタコメーターの針が跳ね上がる。
エンジンブレーキの効きが緩やかなことにも気が付いた。
最近では電子制御によってエンジンブレーキの効きをコントロールできる車両も登場している。
ただ250㏄クラスのフルカウルスポーツはスポーティーな走りを演出するためにアクセルオフした際には強めにエンジンブレーキがかかるのが一般的だ。
また低速・低回転域でエンジンがギクシャクしない。例えば2速で時速一桁台で走行した際だ。
普通は反クラッチを使うか、ギアを一速に落とさないとギクシャクして走行しずらくなる。GSX250Rはそれがない。何事もなかったかのようにスムーズに再加速できるのである。
高速道路の走破性
高速巡行で80km/hで6000rpm、100km/hで7500rpmとなる。
これはライバル車両と比べて少し回転数が高い。
そのため、前述したように下道では燃費がよかったものの、高速道路では伸びなかった。
パワー的には全く問題ない、80km、100kmからのアクセルオンでもしっかり加速できる。
GSX250Rのポジションはフルカウルスポーツバイクとしては前傾は緩め。
ウインドスクリーンは小ぶりだが前傾姿勢のため風切り効果はしっかり体感できる。
ただ少々残念だったのは下道走行では感じなかった手に伝わる微振動があった。
サスペンションの動きも良好で高速走行も快適だっただけに、この微振動だけが残念だった。
この点はカスタムなどで改善したいところだ。
気軽に乗れるフルカウルスポーツ
フルカウルスポーツバイクというと、少し身構えてしまうがGSX250Rはそうではない。
ハンドルはセパレートハンドルだがトップブリッジ上にマウントされているので前傾は緩め、ストリートファイター系バイクと大きくポジションは変わらない。
エンジンブレーキの効きが緩やかで低速低回転時にギクシャクしないので下道では非常にコントロールしやすいので気軽に乗れる。
高速走行時のハンドルに伝わる微振動のみが気になったのでハンドルウエイトなどのカスタムで解決したいところだ。