今やバイクもどんどん高性能化が進んでいるが、安全装備についてもそれは同じ。ライダーを守る装備が満載されている。
ここではそんなバイクの最新、先進の安全装備についてガイドしていこう。
ライダーを守るために日々進化しているバイクの安全装備
バイクという乗り物は、車輪が2つしかない不安定な乗り物であり、しかも体を守るものがないために転倒すれば怪我をするリスクが高いという特性がある。
それゆえに車両メーカーによって転倒をしないための技術が長年研究された結果、二輪の特性に合わせたABS(アンチロックブレーキシステム)をはじめ、トラクションコントロールなどが開発された。もちろんタイヤメーカーがよりスリップしにくい高性能なタイヤを開発してきたことも安全に繋がる進化の一つと言えるだろう。
また同時にバイクは車に比べてライダーの負荷が大きい乗り物でもある。走行中は常にバランスをとる必要があり、また体がむき出しなので風雨などをモロに受けることは避けられない。
そんなバイクだからこそ疲労度は車とは比べられないほど高い。また疲労が大きくなるほど集中力が低下して転倒や事故に遭うリスクが高くなりがちだ。
そこでライダーの疲労を軽減する先進装備も開発されている。クルーズコントロールや、オートシフター、電子制御サスペンションシステムなどはそのための装備となる。
今後ますます安全で快適なバイクの先進装備が出てくることを期待したい。
①トラクションコントロールシステム
駆動力を制御しスリップを防止する電子制御装置
ABSがブレーキ効力の電子制御なのに対して、トラクションコントロールは、エンジン出力を電子制御してスリップを防止するシステム。プラグの点火タイミング変更はもちろん、電子制御スロットルなどといったデバイスと組み合わされることで高性能化。現在ではスクーターから大型バイクまで採用している。
②ブレーキシステム(ABSなど)
先進のブレーキシステムはバイクが安全に止まるための必須装備だ!
ブレーキに関する安全装備と言えば、ABS(アンチロックブレーキシステム)だ。ABSは制動時にタイヤのロックが発生した場合、これを検知し、すばやくタイヤの回転速度を回復し車体の安定を保つための装置。前後輪に搭載されたセンサーにより前後のタイヤ回転速度を検知、これに差がある場合は遅いほうのタイヤがロックしていると判断。ロックしているタイヤに対してはブレーキを緩めて回転速度を回復させた後、再度ブレーキング。これを1/1000秒単位で繰り返し行うことで制動力を確保し、車体の安定を保ってくれる。
上の図は「コンビブレーキシステム」。左レバーのリアブレーキをかけると、フロントブレーキも作動。市街地走行などで初心者からベテランまで、幅広いライダーが簡単操作で効率よく制動力が得られることを目的としており、主に小型モーターサイクルや、スクーターなどに搭載している。
上の図はデュアルコンバインドブレーキシステム。右レバーのフロントブレーキを操作するとリアブレーキにも制動力を配分。ブレーキペダルでリアブレーキをかけた場合も、フロントブレーキに制動力を配分する。高速走行時のブレーキングで車体の挙動変化を極力抑えて安定した減速度を得ることを目的としており、大型スポーツモデルなどに搭載している。
ホンダのCB125R/250Rに採用されているABSは最新タイプのもの。IMU(慣性計測装置)を備えており、センサーによって前後のブレーキをより緻密に制御。急制動時のリアホイールの浮き上がりなどを防ぐ効果を高めるなどの特徴を持っている。
これ以外にもコーナリング中にブレーキングしてもロックしないスポーツABSなども登場している。
③アダプティブクルーズコントロール
前走車との車間を自動調整するクルーズコントロールシステム
アダプティブクルーズコントロール(ACC)は、搭載した専用のセンサーとCPUを用いたシステムが、アクセル操作とブレーキ操作の両方を自動的に行ない、運転を支援する機能。前走車がいる場合、センサーがそれを検知し車間距離を一定に保ちながら走る「追従走行」が可能となっている。
これまでもACC付きのモデルはあったが、先進モデルは追従走行が可能となったのだ。
世界初のミリ波レーダー連携UBSを搭載ヤマハでは初となるアダプティブクルーズコントロールも搭載。
TRACER9 GT+には、ミリ波レーダーとIMUが感知した情報をもとに、前走車との車間に対し、ライダーのブレーキ入力が不足している場合、前後配分を調整しながら自動でブレーキ力をアシストする「ユニファイドブレーキシステム(UBS)」を装備。さらに電子制御サスペンションも連動させ、ライダーに負担の少ないフィーリングを実現している。追従走行が可能となるアダプティブクルーズコントロールも搭載。
前走車との車間距離を保つように車速を調整
Ninja H2 SXは、ボッシュ製ARASを搭載。ACCは、ミリ波レーダーを使用した前方レーダーセンサーが走行車線上をスキャン。設定速度を維持しつつ、前走車との適切な車間距離を保つように車速を調整する。前方衝突警告は、先行車と衝突する危険性がある場合に赤色LEDランプが点滅してライダーに警告。死角検知は後方のレーダーセンサーが周囲を監視、ライダーの死角に接近する車両を検知し警告する。
④ライティングシステム
視認性を向上する先進のライティングも登場
今や多くの車種に採用されるようになってきたLEDライト。ヘッドライトに限らず、テールライト、ウインカー、デイライトなどもに採用されている。LEDを採用するメリットとして、明るいのはもちろんだが、消費電力が少ないこと、ハロゲンに比べて長寿命であること、ユニットをコンパクトにすることができるので軽量化に貢献できるほか、デザインの自由度が高いことも挙げられる。
視認性を向上し、安全性を高める意味でも搭載車両は増えていくはずだ。
アダプティブヘッドライト
BMWのGS(一部車種)に搭載されるアダプティブヘッドライトは、中央に配置された可動式キセノンモジュールとミラーで構成。ライトが常に最適な状態で設定されているエリアを照らしてくれる。
LEDコーナリングライト
カワサキ Ninja H2 SXには、フェアリングに内蔵されたLEDコーナリングライトが、コーナリング時に路面を照射。コーナの先の視認性が向上する。
⑤エアバッグシステム
前面衝突時にライダーの傷害を軽減させる世界初のシステム
前面衝突時、ライダーの傷害を軽減させる世界初の量産二輪車用エアバッグシステム。左右のフロントフォークに装着された衝撃センサーで衝突時の加速度を検知してエアバッグを展開。エネルギーを吸収してライダーが前方に投げ出される際のスピードを抑制し、相手車両や構造物などとの衝突による傷害を軽減する。二輪車専用ダミーや高精度のコンピューターシミュレーションで効果を発揮するシステムを完成させた。
⑥タイヤ空気圧モニタリングシステム
タイヤの空気圧を表示し転倒リスクを軽減する
タイヤの空気圧は意外とチェックを怠ってしまうもの。しかし空気圧が減ってしまうと、転倒のリスクはもちろんのこと、タイヤの偏摩耗によって寿命を縮めてしまう可能性があるほか、燃費にも影響がでる。そんな空気圧を常に監視して表示してくれるのがタイヤ空気圧モニタリングシステムだ。トライアンフ・タイガーシリーズの一部にはこのシステムが標準で搭載されている。
ライダー側の安全装備も進化している!
万一の際にライダーを守る「着るエアバッグシステム」
ここ十数年の間に万一の事故の際に着用したエアバッグシステムが作動してライダーの安全性高める製品が登場した。その中でもhit-airがリリースする「MLV2-C」は一体型エアバッグ・ハーネスの最新モデル。エアバッグ気室各所を大きくし、CO2ガスを最大限に活用。作動・展開の際に気室各所の固定収納ボタンやベルクロが瞬時に外れ気室が大きく膨らむ。ハーネス状で肩周りがフリーな状態のため3サイズ程の幅を持たせ、ウェストアジャストベルトでサイズ調節を可能にしている。