Pirelliが圧倒的なシェアを誇るのがテイスト・オブ・ツクバだ
写真協力:筑波サーキット、パワービルダー
年に2回、5月(SATUKI STAGE)と11月(KAGURADUKI STAGE)に筑波サーキットで開催されるイベントレースが「テイスト・オブ・ツクバ(以下T.O.T)」です。
イベントレースと言ってもその人気・知名度ともに非常に高く、いまや全日本ロードレース選手権よりも集客力のあるレースとなっていて、事実、11月5~6日に開催されたKAGURADUKI STAGEは2日間で9100人の観客を集めました(主催の筑波サーキット調べ)。
それほど多くの観客を集める理由は、レースを行うマシンが現代のレーシングマシンとは大きく異なっていて、主流は一時代前(1980年代製が中心)の鉄フレームのマシンであること。往年の人気マシンがほぼ当時のままの姿で、ものすごいスピード(最速クラスのトップタイムは58秒台!)で疾走する姿に多くの観客が思わず大興奮してしまうのです。
そして、T.O.Tは観るレースであるだけではなく、「出るレース」でもあります。アマチュアのレース好きライダーが自慢の愛車で大挙して出場するため、今回のKAGURADUKI STAGEのエントラント(出場者/車)は247台でした!
レースといっても、出場マシンは一昔前の鉄フレームマシンがほとんどですから、タイヤはレース用のスリックタイヤではなく、いわゆる溝付きタイヤ。普段、みなさんが公道で使用しているのと同じタイヤでレースをしています。
とはいえ、速いマシンは1分を切るようなタイムで周回するわけですから、当然、ハイグリップのレーシングコンパウンドを採用したタイヤがチョイスされます。そして、国内外のタイヤメーカーから多数発売されているハイグリップタイヤのなかでも、ピレリタイヤのシェアが圧倒的で、17インチの場合はDIABLO™ SUPER CORSA V3、18インチはPHANTOM™ SPORTCOMP RSが絶大な支持を得ています。
鉄フレームマシンとの相性の良さと、パワービルダーさんの尽力が圧倒的シェアの理由
ピレリタイヤが圧倒的なシェアを獲得している理由を、ピレリジャパンの営業統括マネージャーの調さんにお聞きしました。
「マシンは基本的に鉄フレームの旧車なので、ピレリタイヤが採用するスチールベルトのしなやかさが高いコントロール性を生んでくれるから選ばれているのだと思います。また、T.O.Tで多数のマシンを参加させているピレリの東日本のディーラーの『パワービルダー』さんが、多くのセッティングデータやノウハウを持っていて、それをピレリユーザーと共有しているのも大きな理由でしょう。18インチのPHANTOM™ SPORTCOMP RSが発売されたのは2021年で、発売からまだ1年しか経っていないのでシェアもまだ高くなくて、17インチだけだったらシェアは8割を超えています。ひとつのパーツのシェアが8割を超えるなんて、ちょっとあり得ませんよね」
今回のT.O.Tも多数のマシンをエントリーさせるのと同時に、タイヤサービスにも奮闘していた(レース期間中180~200本のタイヤ交換をしたそうです)パワービルダー代表の針替さんにも、なぜピレリが選ばれるのかを聞いてみました。
「ピレリタイヤは、段階を追ってスペックを向上させてきていて、履けば誰でもタイムアップする実力を持っているタイヤです。1周のタイムが10秒のライダーなら9秒に、1分のライダーなら59秒に入れられるタイヤですね。とくに、200サイズはもはやピレリの一択です。グリップだけなら、ピレリより上の他メーカーのタイヤもありますが、ピレリは扱いやすく懐が深い感じですね。ウチは1990年代後半からT.O.Tに出ていて、その間にピレリのタイヤサービスも始めましたから、タイヤの荒れ方を見ればどんな乗り方、スロットルワークをしているか分かるので、ピレリのスタッフとしてライダーにアドバイスするようにもしています」
ピレリタイヤの鉄フレームと親和性の高いしなやかさと、ライダーのポテンシャルを引き出してくれる懐の深さ、そして充実したサービス体制がT.O.Tライダーたちに支持されているようですね。
来年5月のT.O.Tに参戦を計画しているライダーの方は、ピレリタイヤの使用を考えてみてはいかがでしょうか。もれなくパワービルダーさんからのアドバイスも付いてきますよ。